ラカイユ星座の意味と南天の14星座

18世紀フランスの天文学者ニコラ=ルイ・ド・ラカイユが南アフリカで観測し設定した14の南天星座について、その特徴や歴史的背景、観測方法を詳しく解説します。理化学器具をモチーフにしたユニークな星座群の魅力を知りたいと思いませんか?

ラカイユ星座の歴史と特徴

ラカイユ星座の3つの特徴
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理化学器具がモチーフ

顕微鏡、望遠鏡、コンパスなど18世紀の最新科学機器を星座に採用

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南天観測の成果

喜望峰で約10,000の恒星を観測し南半球の星空を体系化

現代も使用される星座

国際天文学連合が認定する88星座のうち14星座を占める重要な存在

ラカイユによる南天星座の設定背景

 

ニコラ=ルイ・ド・ラカイユは1713年3月15日にフランスで生まれた天文学者で、1751年から1752年にかけて南アフリカの喜望峰(現在のケープタウン)に滞在し、南天の星々を精力的に観測しました。この観測期間中にラカイユは約10,000個の恒星と42個の星雲を記録し、それまで体系化されていなかった南半球の夜空に新たな秩序をもたらしました。

 

参考)ニコラ=ルイ・ド・ラカーユ - Wikipedia

ラカイユの最大の功績は、プトレマイオスの48星座では網羅されていなかった南天の星々を14の新しい星座として設定したことです。これらの星座は1763年に出版された星表『Coelum australe stelliferum』(南天の星空)で正式に発表され、現在も国際天文学連合によって公式に認められています。

 

参考)ラカーユ、天文学の業績 » 趣味は天体望遠鏡で星座観測

ラカイユの観測地点であったテーブルマウンテン付近からの観測経験は、テーブルさん座という実在の山をモチーフにした星座の設定にも反映されています。彼は1762年3月21日に49歳という若さで亡くなりましたが、その業績は今なお天文学の発展に貢献し続けています。

 

参考)星座八十八夜 #70 喜望峰に実在する山の星座「テーブルさん…

ラカイユ星座の特徴と理化学器具モチーフ

ラカイユが設定した14の星座の最大の特徴は、18世紀当時の最先端科学機器や航海用具をモチーフにしている点です。けんびきょう座(顕微鏡)、ぼうえんきょう座(天体望遠鏡)、コンパス座じょうぎ座はちぶんぎ座ポンプ座(真空ポンプ)など、当時の科学技術の進歩を象徴する道具が星座名に採用されました。

 

参考)星座の起源と歴史:夜空を彩る“宇宙の地図”の物語

これらの星座は古代ギリシャ神話に基づく伝統的な星座とは異なり、実用的で明確な命名法が特徴です。ラカイユの目標は、天文学的な観測と航海に役立つ実用的な星座を定義することでした。そのため、らしんばん座(羅針盤)のような航海用具もモチーフに含まれています。

 

参考)ラカーユの星座|さわさわ☆星空コミュニケーター|Clubho…

さらに興味深いのは、ラカイユがプトレマイオスの巨大なアルゴ座を4つの星座(とも座ほ座りゅうこつ座、らしんばん座)に分割したことです。特にらしんばん座は測量に欠かせない磁気コンパスをモチーフにしており、子午線弧長の測量で名を上げたラカイユの情熱が反映されています。

 

参考)ニコラス・ルイ・ラカイユ|やさしい88星座図鑑

ラカイユ星座14星座の完全リスト

ラカイユが設定した14の南天星座は以下の通りです。

 

科学実験器具をモチーフにした星座

測量・製図用具をモチーフにした星座

  • コンパス座(Circinus):製図用コンパスの形で、ケンタウルス座α星の近くにあります​
  • じょうぎ座(Norma):定規をモチーフにした星座です​
  • はちぶんぎ座(Octans):天体観測用の八分儀の形をしており、天の南極に最も近い星座です​

航海用具をモチーフにした星座

  • らしんばん座(Pyxis):航海用の羅針盤(方位磁石)をモチーフにしています​

その他のモチーフの星座

  • がか座(Pictor):彫刻室に置いてある画架(イーゼル)の形をした星座で、フランスの芸術を記念したものと考えられています

    参考)https://mirahouse.jp/begin/constellation/Pictor.html

  • ちょうこくぐ座(Caelum):彫刻具の形をした星座です​
  • ちょうこくしつ座(Sculptor):彫刻家のアトリエをモチーフにしています​
  • テーブルさん座(Mensa):南アフリカのケープタウン近くにあるテーブルマウンテンにちなんだ実在の山をモチーフにした唯一の星座です​
  • とけい座(Horologium):時計をモチーフにした星座です​

これらの星座は主に4等星から5等星の暗い星で構成されており、南天の低い位置にあるため日本からは観測が難しいものが多くなっています。

ラカイユ星座の見つけ方と観測方法

ラカイユ星座は南天の低い位置にあるため、日本からの観測には工夫が必要です。東京からはほとんど見えませんが、沖縄など南西諸島では夏から初秋にかけて観測できる星座もあります。

基本的な観測手順
まず南十字星(みなみじゅうじ座)を基準点として探すと効率的です。南十字星のα星とγ星を結んだ線分をα星に向けて約4.5倍延長すると、おおよそ天の南極に到達します。この天の南極付近にはちぶんぎ座が位置しています。

 

参考)コンパス座

コンパス座を探す場合は、南十字星とケンタウルス座α星(リゲル・ケンタウルス)の間の領域を探します。ケンタウルス座の前足部分を目印にすると見つけやすくなります。

 

参考)みなみじゅうじ座とは?見つけ方や見どころ

望遠鏡での観測ポイント
ぼうえんきょう座を観測する際は、まず天の川の中でいて座の南斗六星を探し、その南側のみなみのかんむり座を見つけます。そのさらに下に小さな十字形に並んだ星が見つかれば、それがぼうえんきょう座です。

ポンプ座は、うみへび座をはさんでコップ座の反対側に位置していますが、4~5等級の暗い星ばかりで南の空での高度も低いため、都会での観測は困難です。観測には郊外の暗い空が理想的です。

南半球での観測の利点
南半球のオーストラリアやニュージーランドでは、ラカイユ星座を高い位置で観測でき、より詳細な観察が可能です。これらの地域では春から夏(11月~2月頃)がラカイユ星座観測の最適期となります。

 

参考)http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~ishizaka/const-south.html

ラカイユ星座が天文学に与えた影響

ラカイユの業績は単なる星座の設定にとどまらず、近代天文学の発展に多大な貢献をしました。彼はパリの子午線長さを計算し、南天の星々の位置を高精度で観測した実力派の天文学者でした。

 

参考)http://ollcp.net/space/astronomy/constellation/const_history.htm

ラカイユが採用した星と星座の配置は現在も維持されており、彼の観測の正確さと詳細さが証明されています。星座境界の規則性を保つための彼の配慮は、1930年に国際天文学連合が88星座の境界を正式に定めた際にも重要な基準となりました。

 

参考)アルゴ座 - Wikipedia

また、ラカイユは星の明るさを系統的に記録し、南天のメシエ天体の観測にも貢献しました。例えば、いて座の球状星団M69の近くでも観測を行っており、彼の星表は後の天文学者たちの研究の基礎となりました。

 

参考)https://www.astroarts.co.jp/alacarte/messier/html/m69-j.shtml

現代天文学への遺産
ラカイユの名前は、彼の業績を称えて複数の天文学的オブジェクトに付けられています。彼が命名した星座は実用的で明確な名前が付けられており、天文学者たちにとって重要な基準となり続けています。

ラカイユの功績で特筆すべきは、星座設定者としてプトレマイオスに次いで有名であることです。プトレマイオスが古代に48星座を体系化したのに対し、ラカイユは18世紀の科学革命の時代に南天の星空を体系化し、現代天文学への橋渡しをしました。

 

参考)88星座解説【study note】

18世紀当時の最先端テクノロジーをモチーフにしたラカイユ星座は、時代の人間の想像力や技術、冒険心が色濃く反映された文化遺産として、今も夜空に輝き続けています。

ラカイユの生涯と業績の詳細について - Wikipedia
最新の星座観測情報と星図 - アストロアoarts.co.jp/">最新の星座観測情報と星図 - アストロアーツ

 

 


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