りゅう座 神話と構成する星の魅力を解説

北天に輝くりゅう座には、ギリシャ神話の黄金のリンゴを守る竜の物語が秘められています。トゥバンやエルタニンなど特徴的な星々から、見つけ方のコツまで詳しく解説。あなたも星空で竜の姿を見つけてみませんか?

りゅう座 神話と構成する星

この記事で分かるりゅう座の魅力
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ギリシャ神話の物語

ヘラクレスの12の冒険に登場する黄金のリンゴを守る竜ラドンの伝説

主要な恒星

トゥバン、エルタニン、ラスタバンなど竜を形作る明るい星々の特徴

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観測方法

こと座のベガや北極星を目印にした、りゅう座の見つけ方のコツ

りゅう座の神話とヘラクレスの冒険

 

りゅう座は、ギリシャ神話における英雄ヘラクレスの12の冒険の11番目の物語と深く結びついています。大神ゼウスが女神ヘラとの結婚祝いにもらった黄金のリンゴの木は、世界の西の果てにあるヘスペリデスの園で大切に守られていました。この園を守護していたのが、100の頭を持つとされる竜ラドンで、あらゆる方向に目を光らせながら、眠ることなく黄金のリンゴを見張っていたのです。

 

参考)そうだ奥三河に行こう!夏の星座「りゅう座」のお話

ミュケーナイとティーリンスの王エウリュステウスに命じられたヘラクレスは、この黄金のリンゴを持ち帰るという困難な任務に挑みます。旅の途中でカウカソス山に鎖で繋がれたプロメテウスを助けたヘラクレスは、「自分で行かず、天を担いでいる巨人アトラスに行かせろ」という助言を受けます。ヘラクレスはアトラスの元へ向かい、アトラスが天を支える役目を一時的に引き受けることで、アトラスに黄金のリンゴを取りに行かせることに成功しました。

 

参考)「りゅう座」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞…

物語には複数のバージョンが存在します。一説では、ヘラクレスが自らヒュドラの毒を塗った矢で竜ラドンを射殺したとされています。別の説では、アトラスがリンゴを取る際に竜は眠っていたとも伝えられています。女神ヘラは長年園を守ったラドンの功績を認め、その姿を夜空に上げてりゅう座としたのです。今も北天でグースカと眠っているという伝承もあり、神話の世界に思いを馳せることができます。

 

参考)りゅう座

りゅう座の神話の詳細と複数の伝承バージョンを知りたい方はこちら

りゅう座を構成する主要な恒星

りゅう座には特徴的な明るい星々が竜の姿を形作っています。最も明るいのは2.2等星のγ星エルタニンで、アラビア語で「蛇」という意味を持ちます。現在は154光年ほど彼方にありますが、150万年後には太陽系に28光年の距離まで接近すると予測されています。エルタニンは竜の頭部を構成する歪んだ四角形の一角を占め、りゅう座を探す際の重要な目印となります。

 

参考)りゅう座|やさしい88星座図鑑

β星ラスタバンは2.8等星で、「龍の頭」という意味を持つアラビア語由来の名前です。距離は約380光年で、G2Ib-IIaというスペクトル型の黄色超巨星に分類されます。α星トゥバンは3.7等星と控えめな明るさですが、紀元前3000年ごろには北極星として輝いていた歴史的に重要な星です。地球の歳差運動により北極の位置が変化したため、現在はこぐま座のポラリスが北極星となっています。

 

参考)りゅう座の恒星の一覧 - Wikipedia

その他にも、δ星アルタイス(3.1等星)、ζ星アルディバー(3.2等星)、ι星エダシク(3.3等星)など、多数の明るい星が竜の長い胴体と尾を描いています。りゅう座全体では2等星1個、3等星5個、4等星10個を含む154個もの肉眼で見える星が確認されており、北天で最大級の星座となっています。

 

参考)http://yumis.net/space/star/greece/dra-g2.htm

星名 バイエル符号 等級 距離(光年) 特徴
エルタニン γ星 2.2等 154 りゅう座で最も明るい星
ラスタバン β星 2.8等 380 「龍の頭」を意味する
トゥバン α星 3.7等 303 かつての北極星
アルタイス δ星 3.1等 97 竜の胴体部分を構成

りゅう座の見つけ方と観測のコツ

りゅう座は天の北極近くに位置するため、北半球では一年中観測できる周極星座です。札幌市の北緯43度以北では星座全体が年中沈むことなく見ることができますが、特に夏の夜(6月~8月)には空高く昇って見やすくなります。ただし明るい星が少ないため、空の暗い場所での観測が望ましいでしょう。

 

参考)りゅう座 - Wikipedia

りゅう座を探すには、こと座のベガ、北極星(こぐま座)、北斗七星(おおぐま座)を目印にします。まずこと座の1等星ベガと北極星の間あたりを探すと、小さくて歪んだ四角形が見つかります。この四角形がりゅう座の頭の部分で、2等星のγ星エルタニンを含むため比較的見つけやすい目印となります。

 

参考)https://seiza.imagestyle.biz/natu/ryuumain.shtml

頭の部分から星の列がケフェウス座の方へ伸びているのが竜の首、そこから折り返して北極星の周りを半円形を描くように伸びているのが竜の胴体です。おおぐま座の北斗七星の柄の端の星と北極星を結び、それを北斗七星の反対側まで伸ばしても、頭の部分の4つの星が集まった場所を見つけることができます。こぐま座を取り囲むように配置されているため、北極星を中心として全体像を把握するとよいでしょう。

  • 📍 観測適期:6月~8月の夏の夜が最適
  • 🌟 目印の星:こと座のベガ、北極星、北斗七星
  • 🔍 探索ポイント:ベガと北極星の間に歪んだ四角形を探す
  • ⏰ 観測時間:周極星座のため一晩中見られる

りゅう座に存在する天体とキャッツアイ星雲

りゅう座には星座を構成する恒星以外にも、注目すべき天体が存在します。その代表格が、NGC6543として知られるキャッツアイ星雲です。この惑星状星雲はりゅう座の方向約3,600光年先に位置し、現在知られている中で最も構造が複雑な星雲の一つとされています。

 

参考)キャッツアイ星雲 - Wikipedia

キャッツアイ星雲は猫の目のような独特の形状からその名がつけられました。視直径は約20秒角と小さいものの、9等級の明るさがあるため小型の望遠鏡でも恒星と区別がつきます。口径20cm以上の望遠鏡を使えば、内部のフィラメント構造も確認することができるでしょう。ハッブル宇宙望遠鏡による高解像度の観測では、ノットやジェット、弧のような形など、注目すべき複雑な構造が明らかにされています。

 

参考)NGC6543、キャッツアイ星雲 −天の川のほとりで星空散歩…

さらにりゅう座は流星群の放射点としても知られています。10月りゅう座流星群(旧称:ジャコビニ流星群)は、ジャコビニ・ツィナー彗星(21P/Giacobini-Zinner)が放出した塵に地球が交差することで発生します。通常年の出現数は少ないものの、過去には1933年や1946年に一時間当たり数千から数万という大出現を記録しており、将来の突発出現が期待される流星群です。

 

参考)三菱電機:DSPACE 10月りゅう座流星群

キャッツアイ星雲の詳細な構造とハッブル宇宙望遠鏡の観測画像はこちら

りゅう座と古代エジプト・北極星の変遷

りゅう座のα星トゥバンは、単なる3.7等星という控えめな明るさ以上の歴史的意義を持っています。紀元前3000年頃、エジプト古王国時代には、このトゥバンが北極星として輝いていました。この時期は、まさにクフ王のピラミッドが建設された時代と重なります。ピラミッドの内部通路の一部は、当時の北極星であったトゥバンを指す方向に設計されていたという説もあり、古代エジプト人の天文学の知識の高さを物語っています。

 

参考)Draco(りゅう座)について知ろう!【北天に横たわる神秘の…

地球の歳差運動により、天の北極の位置は約25,800年の周期で移動し続けています。このため北極星も時代とともに変化します。トゥバンが北極星だった時代から約5,000年が経過した現在は、こぐま座のα星ポラリスが北極星として知られていますが、さらに時が経てば再び別の星が北極星となるでしょう。このような天文現象の変化は、人類の歴史の長さと天体運動の壮大さを実感させてくれます。

 

りゅう座は世界各地の文化でも重要な位置を占めてきました。西洋ではドラゴン、東洋では龍として認識され、多様な神話や伝承と結びついています。古代バビロニアの星図にもすでに記録されており、人類最古の星座の一つとして数千年にわたり夜空を飾ってきた歴史があります。プトレマイオスの48星座にも含まれ、天文学の発展とともに観測され続けてきた星座なのです。

  • 🏛️ 紀元前3000年頃:トゥバンが北極星として輝いていた時代
  • 🔄 歳差運動の周期:約25,800年で北極の位置が一巡する
  • 📜 古代からの記録:プトレマイオスの48星座に含まれる
  • 🌏 文化的多様性:西洋のドラゴン、東洋の龍として認識

りゅう座観測を楽しむための実践ガイド

りゅう座の観測を最大限に楽しむためには、いくつかのポイントを押さえておくとよいでしょう。まず観測場所の選定では、街明かりの少ない暗い空が理想的です。りゅう座は明るい1等星を持たないため、都市部の光害が強い場所では全体像を捉えることが困難になります。郊外や山間部など、天の川が見えるような暗い場所を選ぶことで、より多くの星を確認できます。

 

観測時期については、一年中見ることができる周極星座とはいえ、夏の夜(6月~8月)が最も観測に適しています。この時期はりゅう座が空高く昇り、頭の部分が天頂近くに位置するため、全体像を把握しやすくなります。また、夏の夜は他にも夏の大三角(ベガ、アルタイルデネブ)が見やすい時期でもあり、これらを目印としてりゅう座を探すことができます。

双眼鏡や望遠鏡を使用すると、肉眼では見えにくい暗い星々も観察でき、竜の長い胴体の形をより詳細に追うことができます。特にキャッツアイ星雲(NGC6543)の観測には望遠鏡が必須です。口径8cm程度の小型望遠鏡でも恒星状の姿を確認でき、口径20cm以上の中型望遠鏡なら内部構造も楽しめます。星図や星座アプリを活用して、事前にりゅう座の位置や形を確認しておくと、実際の観測がスムーズに進むでしょう。

  • 🌃 観測場所:光害の少ない郊外や山間部を選ぶ
  • 📅 最適時期:6月~8月の夏の夜、特に深夜がおすすめ
  • 🔭 観測機器:双眼鏡で星の配置確認、望遠鏡でキャッツアイ星雲観測
  • 📱 準備:星図アプリで事前に位置と形を確認
  • 👥 観測仲間:複数人で異なる目印から探すと発見しやすい

 

 


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