周極星 日本で見える星座と観測方法

日本では緯度により周極星の見え方が変わり、北斗七星やカシオペア座など代表的な星座が一年中観測できます。各地の緯度と周極星の関係、観測に適した時間帯や季節、実用的な活用法を知りたくありませんか?

周極星 日本の観測

この記事のポイント
🌟
日本各地で見える周極星

緯度により異なる周極星の範囲と代表的な星座を解説

🔭
観測方法と見つけ方

北極星を基準とした周極星の探し方と時刻による位置変化

📍
実用的な活用法

方位確認や時刻推定など実生活に役立つ周極星の使い方

周極星とは、地球上のある地点から観測したとき、地平線に沈むことなく一年中夜空に見える星のことです。日本のように北半球の中緯度地域では、天の北極に近い星々が周極星となり、北極星を中心に反時計回りに回転するように見えます。観測地点の緯度によって周極星となる範囲が決まるため、日本国内でも地域によって見える周極星の種類や数が異なります。

 

参考)「周極星」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書

周極星 日本各地の緯度と見える範囲

 

日本で周極星として観測できるかどうかは、観測地点の緯度と星の赤緯によって決まります。天の北極からの角度が観測地点の緯度より小さい星が、すべて周極星となります。

 

参考)周極星 - Wikipedia

東京は北緯35度付近に位置するため、北極星の高度もおよそ地平高度35度に見えます。北半球で周極星かどうかを判断する計算式は「90° - δ」(δは星の赤緯)で求められます。例えばおおぐま座α星の赤緯は+61°45′なので、北緯28°15′より北の地点では周極星になります。

 

参考)https://kitakaruizawa.net/rika/2018_0613-1438-hokuto-1.pdf

日本の代表的な地域別の周極星の範囲を以下の表にまとめました。

地域 緯度 周極星の範囲 代表的な周極星
北海道 北緯43度前後 赤緯+47度以上 北斗七星全体、カシオペア座全体
東京 北緯35度 赤緯+55度以上 北斗七星の大部分、カシオペア座の主星
大阪・京都 北緯34度 赤緯+56度以上 北極星周辺、一部の北斗七星
沖縄 北緯26度 赤緯+64度以上 北極星とごく限られた星のみ

三重県あたりを境に、北斗七星が周極星になるかならないかが分かれます。北海道では北斗七星がすべて周極星となり、北極星の下を通過(下方通過)します。さらに北アルプスや八ヶ岳など高緯度地域では、カシオペア座と北斗七星は共に沈まない周極星であり、どちらからでも北極星を導くことが可能です。

 

参考)山岳・風景写真の教科書 第11回 夜の山を写す・星空応用編 …

周極星 北斗七星とカシオペア座の観測

日本で最も代表的な周極星は、北斗七星とカシオペア座です。これらは北極星を挟んで反対方向に位置し、季節によって見やすさが変わります。

 

参考)いぶりの☆星空散歩 カシオペヤ座

北斗七星は春から夏にかけて観測しやすく、おおぐま座の一部として7つの星でひしゃくの形を作っています。北斗七星の柄の先端から2つの星の距離を5倍伸ばすと北極星に到達します。北海道では北斗七星全体が一年中沈まない周極星として観測できますが、南日本では一部の星が地平線に沈むこともあります。

カシオペア座は秋から冬にかけて観測しやすく、W字型の特徴的な形状をしています。カシオペア座のW字の左右の線の交点と真ん中の星との距離を5倍すると北極星に到達します。北極星の周りをめぐる周極星として、水平線に沈むことなく北半球のほとんどの国で1年中見えます。

 

参考)「日周運動」とは。太陽や星の動きを理解して天体観測に生かそう…

季節ごとの見え方の変化を以下にまとめました。

  • 🌸 春(3〜5月):北斗七星が真上付近に見え、カシオペア座は北の地平線近く
  • ☀️ 夏(6〜8月):北斗七星が北西の空に、カシオペア座は北東の空に上昇
  • 🍂 秋(9〜11月):カシオペア座が真上付近に見え、北斗七星は北の地平線近く
  • ❄️ 冬(12〜2月):カシオペア座が北西の空に、北斗七星は北東の空に上昇

1〜2時間後にもう一度北の空を見ると、北斗七星あるいはカシオペア座が北極星を中心に反時計回りに移動しているのが確認できます。これは地球の自転による日周運動の結果です。

 

参考)|星座を見つけよう

北海道胆振地方などの北日本では、北の地平線が開けているところで、北斗七星とカシオペア座の両方が一日中空に出ている周極星として観測できます。一方、南日本でも空が開けていればどちらか一方は必ず見えています。

 

参考)https://yossyn.sakura.ne.jp/topic14.htm

周極星 北極星の見つけ方と高度計算

周極星を観測するには、まず北極星を見つけることが基本となります。北極星は天の北極に最も近い星(現在はこぐま座ポラリス)で、地球上から見ると常に真北にあり、ほとんど動きません。

北極星の高度は観測地点の緯度とほぼ一致します。東京が北緯35度であれば北極星の高度もおよそ35度、北海道の北緯43度の地点では高度43度に見えます。この性質を利用して、北極星の高度を測ることで自分の現在地の緯度を知ることができます。

 

参考)天の北極と天の赤道と周極星のこと - planet;naka…

周極星の範囲を計算する公式は以下の通りです。

  • 📐 周極星の赤緯範囲:赤緯が「90° - 観測地点の北緯」以上の星
  • 📏 天の赤道の高度:「90° - 観測地点の北緯」で計算
  • 🎯 北極星から水平線まで:「90° - 観測地点の北緯」度の角度

北緯36度の東京で考えると、水平線を起点にした場合、北極星から水平線までは90° - 36° = 54°となります。つまり、天の北極から54度以内にある星(赤緯+36度以上の星)が周極星として観測できます。

北極星を見つける実用的な方法として、北斗七星やカシオペア座を目印にする方法が広く知られています。北極星を特定したら、その方向が北ですから、北極星のほうに向くと右が東、左が西、後ろが南となり、方位を知ることができます。

周極星の詳細な定義と計算式について(Weblio辞書)

周極星 観測に適した時間帯と季節

周極星は一年中観測できますが、時間帯や季節によって見やすさが大きく変わります。星が見られるのは主に夜なので、あまり遅くならないよう、早めの時間帯を狙って観測することが推奨されます。

 

参考)https://starwalk.space/ja/news/circumpolar-constellations

周極星を含む北極星周辺の星は、おおよそ24時間で北極星を一周します。2時間経過すると約30度移動するため、この動きを利用して時刻を推定することも可能です。例えば6月中旬の22時ごろの北斗七星の位置と比べて30度くらい動いていれば、2時間後の0時だということがわかります。

 

参考)https://www.fukui-planet.com/astronomical-info-thisyear.php?blog_id74=720

季節ごとの観測のポイントは以下の通りです。

  • 🌸 春季(3〜5月):北斗七星が最も高い位置に見え、北極星を探すのに最適な季節
  • ☀️ 夏季(6〜8月):夜が短いが、22時頃には北斗七星が北西の空に明瞭に見える
  • 🍂 秋季(9〜11月):カシオペア座が最も高い位置に見え、W字型が観測しやすい
  • ❄️ 冬季(12〜2月):空気が澄んで星がよく見え、カシオペア座の観測に最適

日周運動を体感したい場合は、1〜2時間の間隔を空けて同じ場所から観測すると、星々が北極星を中心に反時計回りに移動しているのが確認できます。透明半球や星座早見盤を使って記録を取ると、より正確に観測できます。

地球上の北緯66度33分以北では冬至を中心に極夜となる日があり、晴天であれば周極星は一日中夜空に見ることができます。日本では極夜は発生しませんが、北海道の高緯度地域では夏至の時期に夜が非常に短くなり、薄明るい中でも周極星を観測できる時間帯があります。

赤道に近い場所(北緯25度から南緯15度)では、すべての星がある時刻に昇って沈むので、この緯度帯には周極星は存在しません。そのため、沖縄など日本の南端地域では周極星の数が限られます。

周極星 日本における実用的活用法

周極星は天体観測の対象としてだけでなく、実生活でも様々な用途に活用できます。一年中見える特性を生かして、方位確認や時刻推定など実用的な目的に利用されてきました。

方位の確認として、北極星を見つけることで正確な北の方向を知ることができます。北極星を特定した後、その方向が北となり、右が東、左が西、後ろが南と判断できます。登山やハイキングでコンパスがない場合、北斗七星やカシオペア座から北極星を探すことで、方位を確認できます。​
時刻の推定では、北斗七星と北極星の位置関係から大体の時刻を知ることができます。北極星の周りの星は24時間で一周するため、星の動いた角度から経過時間を計算できます。2時間で約30度移動するという基本を覚えておけば、簡易的な「星時計」として機能します。​
観測環境による活用方法。

  • 🏔️ 登山・キャンプ:方位確認と時刻推定に活用し、夜間の行動計画に役立てる
  • 📸 星景写真撮影:周極星の軌跡を長時間露光で撮影し、美しい円弧を記録
  • 🎓 教育活動:地球の自転や天体の動きを実感できる教材として活用
  • 🧭 ナビゲーション:GPS機器が使えない状況での補助的な位置確認手段

アイヌ民族など日本の先住民族は、北斗七星などの周極星を季節の指標や時間の目安として利用してきました。北海道では北斗七星が一年中沈まない周極星として見られることが、独自の星文化の発展に影響を与えました。

 

参考)https://www.nature-kawasaki.jp/pdf/kiyou/kiyou25/kiyou25-5.pdf

写真撮影においては、北極星を中心とした長時間露光撮影により、周極星の美しい円弧状の軌跡を記録できます。数時間にわたって撮影すると、星々が北極星を中心に同心円を描く様子が一枚の写真に収められます。

 

星時計の詳しい使い方と実例(福井県児童科学館)

周極星 観測時の注意点と緯度変化

周極星の観測を行う際には、いくつかの重要な注意点があります。特に観測地点の緯度によって見える周極星の範囲が大きく変わるため、事前の確認が必要です。

観測地点を移動すると、周極星の範囲が変化します。南に移動するほど天の北極の高度が下がり、周極星となる星の数が減少します。例えば東京から沖縄に移動すると、東京では周極星だった北斗七星の一部が、沖縄では地平線に沈むようになります。

 

参考)http://kokoten.raindrop.jp/01_mie_chigaku_kyouzai/H23_chigaku_buturi/903_idoniyoruseiza/903.html

日本国内での緯度による周極星の違い。

移動方向 周極星の変化 具体例
北へ移動 周極星が増える 東京→北海道で北斗七星全体が周極星に
南へ移動 周極星が減る 東京→沖縄で北斗七星が部分的に沈む
赤道付近 周極星なし 北緯25度以南では周極星が存在しない

観測環境の注意点として、光害の影響を考慮する必要があります。都市部では街灯や建物の明かりにより、暗い星が見えにくくなります。周極星の中でも北極星やカシオペア座の主星など明るい星は都市部でも観測できますが、北斗七星の暗い星などは郊外や山間部での観測が推奨されます。

 

天候条件も重要で、雲がない晴天の夜が観測に最適です。月明かりが強い満月前後は星が見えにくくなるため、新月前後の観測が理想的です。また、冬季は空気が澄んでいるため星がよく見えますが、防寒対策が必要になります。

ある半球で周極星となる星や星座は、反対の半球の高緯度地方では決して水平線より上に現れません。つまり日本で見える北天の周極星は、南半球では観測できないということです。逆に南半球で見えるみなみじゅうじ座などの南天の周極星は、沖縄など日本の南端では部分的に観測できますが、北日本では全く見えません。

世界各地の周極星座と緯度の関係(Star Walk)

 

 


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