こぐま座には北極星ポラリスが輝き、神話ではアルカスが母カリストと天に上げられた物語が語られます。7つの星で構成された小北斗七星の秘密とは?
ケンタウルス座神話と構成する星の魅力・特徴
南天に輝くケンタウルス座は、ギリシャ神話の半人半馬の種族と2つの一等星を持つ豪華な星座です。太陽系に最も近い恒星系や巨大球状星団など、驚きの天体が集まる星座の魅力を知りたくありませんか？
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ケンタウルス座の神話と構成する星
ケンタウルス座のギリシャ神話とヘラクレスの悲劇
ケンタウルス座のモデルは、ギリシャ神話に登場する半人半馬の種族ケンタウロス族の一人、フォーロス（ポロス）です。ケンタウロス族の多くは粗暴で荒々しい性格でしたが、フォーロスは例外的に温厚で礼儀正しい人物として知られていました。
参考）https://seiza.imagestyle.biz/sinwa/kentaurusu.shtml
フォーロスと英雄ヘラクレスの出会いは、ヘラクレスがエリュマントスの猪退治という12の試練の一つを遂行している最中でした。フォーロスはヘラクレスを自分の洞窟に招き、酒神ディオニュソスから授かった特別な酒でもてなそうとします。しかし、この酒の芳醇な香りが周囲に広がると、他の荒々しいケンタウロス族が酒の匂いに引き寄せられて洞窟に押し寄せ、暴れ始めました。
参考）ケンタウルス座の神話！友を失った英雄ヘラクレスの物語！！
怒ったヘラクレスは、かつて倒したヒュドラという怪物の猛毒を塗った矢でケンタウロス族を次々と撃退します。戦闘が収まった後、フォーロスは倒れたケンタウロスに刺さっていた矢がなぜそれほど強力なのか気になり、その矢を引き抜こうとしました。ところが、不運にもその矢が自分の足に刺さってしまい、強力な毒が体に回ってフォーロスは命を落としてしまいます。
参考）春の星座「ケンタウルス座」の神話を紹介します
友人の死を目の当たりにしたヘラクレスは深く悲しみ、大神ゼウスに懇願してフォーロスを星座にしてもらったと伝えられています。このように、ケンタウルス座には友情と悲劇の物語が込められているのです。
ケンタウルス座の神話の詳細と様々な伝承のバリエーション
ケンタウルス座のα星リギルケンタウルスの特徴
ケンタウルス座α星は「リギル・ケンタウルス」または「リゲル・ケンタウルス」という固有名で呼ばれ、全天で3番目に明るい-0.01等級の恒星です。この名前はアラビア語で「足」を意味する言葉に由来しており、オリオン座のリゲルと同じ語源を持ちます。
参考）ケンタウルス座 - Wikipedia
最も注目すべき特徴は、この星が太陽系から約4.3光年という距離にあり、全恒星系の中で地球に最も近い存在であることです。リギル・ケンタウルスは実際には三重連星系で、G型主系列星のA星（0.0等級の主星）とK型主系列星のB星（1.3等級のオレンジ色の伴星）が互いに約80年周期で公転し、さらにその周囲を赤色矮星のC星（プロキシマ・ケンタウリ）が回っています。
参考）αケンタウリ星系
主星であるA星は、質量が太陽の1.227倍、直径が1.100倍、表面温度5800度、自転周期22日と、太陽と驚くほど似た物理的性質を持つ黄色い恒星です。天体望遠鏡で観察すると、黄色く輝く主星とオレンジ色の伴星が約11天文単位離れて並ぶ美しい二重星の姿を確認できます。このように地球に近く、太陽に似た性質を持つことから、宇宙探査や地球外生命探査の重要なターゲットとして注目されています。
参考）https://turupura.com/guide/star/rigirukento.html
αケンタウリ星系の詳細な天文学的データと最新研究情報
ケンタウルス座のβ星ハダルと2つの一等星の対比
ケンタウルス座β星は「ハダル」という固有名で知られ、全天21個ある1等星の一つです。ハダルはケンタウルス座で2番目に明るい星で、α星のリギル・ケンタウルスと並んで南天に輝く姿は、まるでケンタウロスの前足を構成しているように見えます。
参考）ケンタウルス座とは？見つけ方や見どころ
この2つの1等星の最大の魅力は、その対照的な色合いです。リギル・ケンタウルスが黄色く輝くのに対し、ハダルは青白い色を放ち、隣り合う2つの星の色の違いが夜空で際立っています。この色の違いは星の表面温度の差を反映しており、視覚的にも美しいコントラストを生み出しています。
参考）https://ameblo.jp/kaoriavenue/entry-12769812570.html
ケンタウルス座は、この2つの1等星に加えて4つの2等星も含む非常に豪華な星座構成を誇ります。かつてはみなみじゅうじ座もケンタウルス座の一部とされており、その時代には1等星が4つもある壮大な星座だったと考えられています。現在でも、ケンタウルス座はみなみじゅうじ座を取り囲むように位置しており、南緯29度以南の地域では周極星として一年中観察できます。ただし日本では奄美諸島以南でないと全体を見ることができず、本州では地平線近くに一部が昇るのみです。
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ケンタウルス座のω星団の圧倒的規模
ケンタウルス座のω星団（NGC 5139）は、銀河系最大級の球状星団として知られる天体です。この星団は肉眼でも確認できる数少ない球状星団の一つであり、その規模は「規格外」と表現されるほど巨大です。
参考）この季節, ω(オメガ)星団が見えるのです｜MRYM
ω星団の直径は約170光年で、有名なヘルクレス座の大球状星団M13と同程度ですが、含まれる星の数は桁違いに多く、1000万個とも言われています。この星の数は、M13の約100倍に相当し、球状星団としては異例の規模となっています。
興味深いことに、この天体の名前の由来には歴史的な経緯があります。紀元前2世紀に天文学者プトレマイオスがこの天体をケンタウルス座の星の一つとして記録し、17世紀にバイエルがω（オメガ）という星符号を与えました。しかし後の観測で、これが実際には恒星ではなく巨大な球状星団であることが判明したのです。それでも歴史的な名称として「ω星」という呼び名が現在も使われ続けています。
参考）https://ryutao.main.jp/mythology_32.html
日本からの観察は困難ですが、北緯35度程度の地域でも南の地平線から一部が昇ります。さそり座が昇る頃、その右側にV字型の星の並びがケンタウルス座の頭部にあたり、α星とβ星はケンタウロスの足の部分に位置するため日本本土からは見えませんが、ω星団は比較的観察しやすい位置にあります。
ω星団の観測データと科学的特性の詳細情報
ケンタウルス座の見つけ方と日本での観測可能性
ケンタウルス座は南天の大きな星座で、日本からは全体像を見ることができない星座の一つです。平塚など本州の多くの地域では、地平線近くに一部しか昇らず、完全な姿を観察することはできません。
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日本でケンタウルス座を探すには、まず5月20日頃の21時ごろ、南の空に輝くおとめ座の1等星スピカを目印にします。スピカは純白に輝く明るい星で、地平線から握りこぶし4つ分ほどの高さに見えます。そのずっと下の地平線近くに、平べったい二等辺三角形の星並びが見つかれば、それがケンタウルス座の一部です。
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ケンタウルス座の2つの1等星、α星のリギル・ケンタウルスとβ星のハダルは、ケンタウロスの前足部分を構成しており、みなみじゅうじ座を見つけるための重要な目印にもなります。この2つの1等星を結んだ線を延長すると、みなみじゅうじ座の方向を指し示します。
参考）みなみじゅうじ座とは？見つけ方や見どころ
実際に全体を観察したい場合は、奄美諸島以南、できれば沖縄や南半球に行く必要があります。沖縄では3月に入ると深夜2時頃に南の低い位置でみなみじゅうじ座とともにケンタウルス座の一部を確認できます。南半球の観測地では、1等星が2つ、2等星が4つもある豪華な星座の全貌を堪能できるでしょう。
参考）みなみじゅうじ座とケンタウルス座が見えてきた - 国頭村星空…
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ケンタウルス座と他の星座との神話的つながり
ケンタウルス座は、いて座（射手座）とともにケンタウロス族を表す星座として夜空に輝いています。この2つの星座には深い関係があり、どちらもギリシャ神話のケンタウロス族に由来しています。
いて座のモデルは、賢者として知られたケンタウロス族のケイロン（キロン）です。ケイロンはフォーロスと同じく温厚で知的なケンタウロスで、医学、音楽、天文学、占いなど様々な学問に精通していました。実は、英雄ヘラクレスも幼い頃にケイロンのもとで教育を受けており、師弟関係にあったのです。
参考）https://mirahouse.jp/station/cen.pdf
悲劇的なことに、ケイロンもまたヘラクレスとケンタウロス族の戦闘に巻き込まれて命を落としました。ヘラクレスが放った流れ矢がケイロンに当たり、ヒュドラの毒によって苦しむことになります。フォーロスはケイロンを助けようとして矢を引き抜こうとした際に、自分も毒矢の犠牲になってしまったという伝承もあります。
酔いが覚めたヘラクレスは、尊敬する師と親しい友人の2人のケンタウロスを失ったことを深く後悔し、神々に2人を星座にしてくれるよう懇願しました。こうしてフォーロスはケンタウルス座として、ケイロンはいて座として夜空に輝くことになったのです。
星座の配置にも興味深い点があります。ケンタウルス座のフォーロスは槍を手に持ち、東のおおかみ座の方を向いています。一方、いて座のケイロンは矢をつがえて、さそり座の方を狙っているように見えます。これは生前ケンタウロス族がよく狩りをしていたことを反映しており、それぞれが獲物を狙う姿勢を表しているとも解釈されています。
このように、ケンタウルス座の神話は単独で完結するものではなく、いて座やヘルクレス座、さらにはおおかみ座やさそり座とも関連する壮大な物語の一部を構成しているのです。