おおかみ座は、ギリシア神話に登場するアルカディア王リュカオンの物語と深く結びついています。リュカオンは50人の息子と1人の娘をもうけた王で、その息子たちは皆高慢で意地が悪く、アルカディアの民を苦しめていました。
参考)https://ryutao.main.jp/mythology_13.html
この悪評を耳にした大神ゼウスは、彼らがどれほどの悪人かを試すため、旅人の姿でリュカオンの神殿を訪れます。するとリュカオンの息子たちは、リュカオンの孫アルカス(後のこぐま座)を殺し、その臓物を抜き取って料理に混ぜ、ゼウスをもてなしたのです。このあまりにも非道な行いに激怒したゼウスは正体を現し、驚いて逃げまどうリュカオンの息子たちを雷光で殺し、リュカオンを狼の姿に変えてしまいました。
参考)http://yumis.net/space/star/greece/lup-g.htm
古くは独立した星座ではなく、ケンタウルス座の一部と見られていた歴史があります。星座絵では、ケンタウルスが槍でオオカミの喉をねらっている姿として描かれています。
参考)星座八十八夜 #87 ケンタウルスにおそわれる「おおかみ座」…
おおかみ座は2等星のα星と6つの3等星から主に構成されており、一等星のような目立つ星はありませんが、星の並びがわかりやすい星座です。
参考)おおかみ座|やさしい88星座図鑑
主な恒星の特徴:
参考)おおかみ座
α星からη星までの7星は、全て見かけの明るさがギリシア文字のアルファベット順に並んでおり、β星・ζ星を除く5星は「上部ケンタウルス・おおかみアソシエーション(Upper Centaurus Lupus association, UCL)」と呼ばれるOBアソシエーションのメンバーと見られています。残念ながら固有名が付けられた恒星はなく、少し寂しい星座です。
おおかみ座は南天の星座ですが、日本の本州からも観測することができます。観察のベストシーズンは5月から7月で、夜空が最も澄んでいる時期に当たります。
観測の目安:
星座の見つけ方:
まず南の空で目立つさそり座を見つけ、さそり座の西側(右側)を見ると、明るい星が集まった領域があります。その星々の並びが歩いているおおかみの形を描いています。特に明るい3つの星(α、β、γ)がおおかみの胴体部分を形作っており、2等星から3等星の星がつぶれた輪の形になっているのが目印です。隣接するケンタウルス座にはリギル・ケンタウルス、さそり座には赤く輝くアンタレスがあり、これらを目印にすると見つけやすくなります。
参考)https://seiza.imagestyle.biz/minami/ookami.shtml
β星とα星を結ぶと後ろ足になり、三角形の右の星の隣のγ星までが首です。胴体は、γ星から南に下がり気味に西へゆくと、3等星が2つ見つかります。
おおかみ座の領域には、活発な星形成が行われている暗黒星雲が存在します。地球から約600光年の距離に位置する「おおかみ座分子雲」は、星々の中を横切る不格好な蛇のような形に見える暗黒星雲です。
参考)暗がりからの輝き、星形成領域おおかみ座3 - アストロアーツ
おおかみ座分子雲は最近の研究で6つの領域に大別されており、それぞれ「Lupus1~Lupus6」と呼ばれています。その一角に位置する星形成領域「おおかみ座3(Lupus 3)」は、原始星や非常に若い星を含んでいます。
参考)http://astro.u-gakugei.ac.jp/~tenmon/old-DCM/lupus.html
おおかみ座3の特徴:
📍 暗黒星雲の正体は低温の濃い塵の集まりで、塵が星雲内の天体や背景からの可視光線を散乱、吸収してしまうために暗く見えます。
🌟 画像中央で輝く反射星雲「バーンズ149(Bernes 149)」は、「HR 5999」と「HR 6000」という2つの青い星が周囲のガスと塵の雲を照らしています。これらの星は約100万歳とまだ若い星ですが、おおかみ座3の中では最も古い星です。
参考)ダークエネルギーカメラがとらえた暗黒星雲「おおかみ座3」と反…
✨ 生まれたての星々からの放射の大部分は星雲の厚いベールに遮られてしまうため、赤外線や電波で観測しなければ見ることができません。しかし星がより明るく高温になると、強力な放射と恒星風によって周囲のガスや塵が取り払われ、明るい輝きを放つようになります。
星雲の観測研究は星形成を理解する上でとても重要で、太陽も、おおかみ座3にとてもよく似た星形成領域で40億年以上前に形成されたと考えられています。
アストロアーツ「暗がりからの輝き、星形成領域おおかみ座3」
星形成領域の詳細な観測画像と解説を知りたい方向けの参考リンクです。
おおかみ座の領域には、恒星以外にも興味深い天体が存在します。おおかみ座の西側約1900光年先には、惑星状星雲「IC 4406」があります。この星雲は虹色のように輝く長方形の星雲で、「網膜星雲(Retina Nebula)」と呼ばれることもあります。
参考)宇宙に浮かぶ「おおかみ座の網膜」
IC 4406の特徴:
💫 星雲を形成するガスは、強烈な中心星の光によってイオン化され、外側の水素は赤く、酸素原子は青く、中心近くの窒素は緑に輝いて見ることができます。
🔭 一般的な惑星状星雲のドーナツ状ではなく長方形に見えるのは、ハッブル宇宙望遠鏡がIC 4406を側面から捉えたためです。もしも別の角度から観測することができればM57のような環状星雲のように見えるかもしれません。
おおかみ座の新星出現:
2024年6月12日、おおかみ座に約8等級の新天体が出現しました。南アフリカ天文台の反保雄介さんによる分光観測から、古典新星であることが判明しています。発見時の明るさは8.7等でしたが、その後も明るくなり続けて一時は5等台前半に達したそうです。この新星は「V462 Lupi」と呼ばれ、通常時の330万倍の輝きを放ち、北緯40度付近より南の地域からなら肉眼でも見えました。
参考)おおかみ座に「新星」出現、300万倍の増光で肉眼観測も可能 …
アストロアーツ「おおかみ座に8等の新星が出現」
新星の分光観測結果と詳細な観測データを知りたい方向けの参考リンクです。

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