さそり座の神話は、傲慢な狩人オリオンと密接に結びついています。オリオンは優れた狩猟の腕前を誇り、「ライオンだろうと、クマだろうと、このオリオンに敵うものは誰もいない」と豪語していました。この傲慢さが天上の神々、特に大地の女神ガイアの怒りを買うことになります。
参考)https://seiza.imagestyle.biz/sinwa/sasori.shtml
神々はオリオンを懲らしめるため、毒ヘビや毒グモなど様々な生物の中からサソリを選びました。神々が放った一匹のサソリは、油断していたオリオンに忍び寄り、かかとをチクリと一刺しします。小さなサソリでしたが、さすがのオリオンも強力な毒には敵わず、苦しみの末に息絶えました。
この功績により、サソリは星座として夜空に輝くことになりました。興味深いことに、星座になってからもオリオンはサソリを恐れており、さそり座が空に昇るとオリオン座は決して姿を現しません。さそり座が西に沈む秋から冬にかけて、ようやくオリオン座が東の空に昇り始めるのです。この天空での追いかけっこは、古代から人々を魅了してきた壮大な物語です。
さそり座を構成する星々は、夏の夜空で最も目立つグループの一つです。最も有名なα星アンタレスは、サソリの心臓部分に位置する赤色超巨星で、全天で15番目に明るい1等星です。アンタレスという名前は「アンチ・アーレス(火星に対抗するもの)」を意味するギリシャ語に由来し、その赤さが火星に匹敵することから名付けられました。
参考)アンタレス - Wikipedia
アンタレスの大きさは驚異的で、太陽の約720倍もの直径を持ちます。地球からの距離は約550光年で、変光星として視等級は0.6から1.6まで不規則に変化します。さそり座の尾の先端には、λ星シャウラ(1.6等星)が輝いており、アラビア語で「とげ、針」を意味する名前を持ちます。シャウラはさそり座でアンタレスに次いで明るい星です。
参考)夏の一等星 アンタレス:なよろ市立天文台 きたすばる
その他の主要な星として、以下の星々が挙げられます。
これらの星々がS字型に連なり、夜空にサソリの姿を鮮やかに描き出しています。
参考)さそり座 - Wikipedia
さそり座には肉眼や小型望遠鏡で楽しめる複数のメシエ天体が存在します。最も有名なのはM4球状星団で、アンタレスの西約1.3度の位置にあり、アンタレスのすぐ隣という好位置から見つけやすい天体です。M4は口径10cm程度の望遠鏡で低倍率で観測すると、美しい球状星団の構造を楽しむことができます。
参考)https://www.astroshop-tomita.com/post/%E5%A4%8F%E3%81%AE%E6%98%9F%E5%BA%A7-%E3%81%95%E3%81%9D%E3%82%8A%E5%BA%A7
さそり座の尾の部分には、M6(蝶々星団)とM7という2つの美しい散開星団があります。M6は散開星団で、その形がまるで「X」のように見えることが特徴です。M7も散開星団として知られ、どちらも小型望遠鏡で観測可能な人気の天体です。
参考)夏の大三角と天の川を見てみよう!
その他にも以下の天体が観測できます。
さそり座は夏の天の川に位置するため、星雲や星団が豊富に存在する領域です。これらの天体は写真撮影の対象としても人気があり、長時間露光によって肉眼では見えない構造を捉えることができます。
アストロアーツ - さそり座の天体観測ガイド
※上記リンクでは、さそり座のメシエ天体の詳細な観測方法と撮影テクニックが解説されています。
アンタレスは大質量星が終末期を迎えた姿である赤色超巨星として、天文学的に非常に興味深い天体です。この星は約550光年という比較的近い距離に位置しており、その赤みを帯びた輝きは古代から人々の注目を集めてきました。実際、古代には火星と見間違われることもあり、それが「アンチ・アーレス(火星に対抗する者)」という名前の由来となっています。
参考)大質量星が終末期を迎えた姿:赤色超巨星「アンタレス」【今日の…
アンタレスの物理的スケールは想像を絶するものです。太陽の720倍という巨大な直径を持ち、もしアンタレスを太陽系の中心に置いたとすると、その表面は火星の軌道付近まで達します。このような巨大な星は、核融合反応の最終段階にあり、やがて超新星爆発を起こす運命にあると考えられています。
アンタレスは連星系を構成しており、主星であるアンタレスAに加えて、伴星も存在します。主星の赤色に対して、伴星は青白い色をしており、望遠鏡で観測すると色のコントラストが美しい重星として楽しめます。変光星としての性質も持ち、視等級が0.6から1.6まで不規則に変化するため、観測のたびに微妙な明るさの違いを感じることができます。
参考)https://starwalk.space/ja/news/antares-star
日本では「赤星」や「酒酔い星」といった愛称で親しまれており、その存在感は夏の南天で圧倒的です。月や惑星の通り道(黄道)の近くに位置するため、時折、月や惑星とアンタレスが接近して並ぶ光景を目にすることができ、これは絶好の撮影チャンスとなります。
参考)「さそり座」の見つけ方や誰かに教えたくなる星の話 - 星座図…
さそり座は世界中の文化で認識されてきた数少ない星座の一つです。その特徴的なS字形の星の並びは、多くの文明で類似した解釈を生み出してきました。日本では、アンタレス・σ・τの3つの星を使って、σとτを荷物や駕籠に見立て、アンタレスをそれらを担ぐ人に見立てた和名が各地に存在しました。
中国の神話では、さそり座に隣接するいて座との関係が重要視されました。いて座の南斗六星は生をつかさどる神とされ、対照的に北斗七星は死をつかさどる神とされていました。人が生まれる際には、この二人の神が話し合って寿命を決めると信じられており、天空における生と死の象徴的な配置が神話に反映されています。
参考)さそり座といて座|星や月|大日本図書
ポリネシアの航海文化では、さそり座のS字を成す星々の列が航海の目印として利用されていました。星座は単なる物語の対象ではなく、実用的な天文航法の道具として機能していたのです。黄道十二星座の一つとして、さそり座は占星術でも重要な位置を占め、守護惑星として冥王星が割り当てられています。
参考)星座蠍座(さそり座)の神話には狩人が登場!?真面目で情熱的な…
現代の天文学では、さそり座は天の川銀河の中心方向に位置しているため、多数の星雲や星団が観測される領域として知られています。この天文学的な特徴は、古代の人々が特別な意味を見出した理由の一つかもしれません。夏の南の空低く輝くさそり座は、その堂々とした姿で今も私たちを魅了し続けています。
参考)さそり座 - 新興出版社啓林館・文研出版 万博プロジェクト
星座図鑑 - さそり座の詳細情報
※さそり座の神話や星座の見つけ方について、豊富なイラストとともに解説されています。

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