黄道十二星座とは、天球上の太陽の通り道である黄道に沿って並んだ12個の星座を指します。現在の星座領域の定義ではへびつかい座の一部も黄道にかぶっていますが、古来からの黄道十二星座には含まれません。星座占いで使われる12星座は「黄道十二宮」と呼ばれ、黄道上を12等分したもので、基本的に黄道十二星座と同じ星座になっています。
黄道十二星座の順番は、おひつじ座を起点として「おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座」の順に並びます。これは紀元前2世紀ごろ、座標の原点となる春分点がおひつじ座の中にあったためです。黄道12星座はメソポタミア時代の神官によって設定されたといわれており、紀元前3000年シュメールの時代にさかのぼります。
以下の表は、12星座それぞれの期間と漢字表記、英語名を一覧にしたものです。
||順番|星座名|期間|英語名|
|--|--|--|--|
|1|おひつじ座(牡羊座)|3月21日~4月19日|Aries(エアリーズ)|
|2|おうし座(牡牛座)|4月20日~5月20日|Taurus(トーラス)|
|3|ふたご座(双子座)|5月21日~6月21日|Gemini(ジェミナイ)|
|4|かに座(蟹座)|6月22日~7月22日|Cancer(キャンサー)|
|5|しし座(獅子座)|7月23日~8月22日|Leo(リオ)|
|6|おとめ座(乙女座)|8月23日~9月22日|Virgo(ヴァーゴ)|
|7|てんびん座(天秤座)|9月23日~10月23日|Libra(リブラ)|
|8|さそり座(蠍座)|10月24日~11月22日|Scorpio(スコーピオ)|
|9|いて座(射手座)|11月23日~12月21日|Sagittarius(サジタリアス)|
|10|やぎ座(山羊座)|12月22日~1月19日|Capricorn(カプリコーン)|
|11|みずがめ座(水瓶座)|1月20日~2月18日|Aquarius(アクエリアス)|
|12|うお座(魚座)|2月19日~3月20日|Pisces(パイシース)|
自分の誕生日がどの星座に属するかを確認するには、上記の期間を参照してください。たとえば1月生まれの場合、1月1日~1月19日がやぎ座、1月20日~1月31日がみずがめ座となります。2月生まれであれば、2月1日~2月18日がみずがめ座、2月19日~2月29日がうお座です。
3月は3月1日~3月20日がうお座、3月21日~3月31日がおひつじ座。4月は4月1日~4月19日がおひつじ座、4月20日~4月30日がおうし座となります。5月は5月1日~5月20日がおうし座、5月21日~5月31日がふたご座です。
6月は6月1日~6月21日がふたご座、6月22日~6月30日がかに座。7月は7月1日~7月22日がかに座、7月23日~7月31日がしし座となります。8月は8月1日~8月22日がしし座、8月23日~8月31日がおとめ座です。
9月は9月1日~9月22日がおとめ座、9月23日~9月30日がてんびん座。10月は10月1日~10月23日がてんびん座、10月24日~10月31日がさそり座となります。11月は11月1日~11月22日がさそり座、11月23日~11月30日がいて座です。12月は12月1日~12月21日がいて座、12月22日~12月31日がやぎ座となります。
星座の境目である18日~24日に生まれた人は、年によって太陽が星座を移動するタイミングが微妙に異なるため、詳細な出生時刻で確認することをおすすめします。
各星座には特有の性格傾向があるとされています。おひつじ座は情熱的で行動力があり、リーダーシップを発揮するタイプです。おうし座は安定志向で忍耐強く、美しいものを愛する傾向があります。ふたご座は好奇心旺盛で社交的、コミュニケーション能力に優れています。
かに座は感情豊かで家庭思い、直感的で共感能力が高い性格です。しし座は生まれつきリーダーシップを発揮でき、判断力と行動力、人の心を捉える方法を心得ています。おとめ座は分析力が高く、細かいところに目が行き届く几帳面な性格です。
てんびん座はバランス感覚が抜群で優雅な雰囲気を持ち、調和を重んじます。さそり座は情熱的で神秘的、深い洞察力を持つタイプです。いて座は冒険心が旺盛で哲学的、知的な探求を好みます。
やぎ座は真面目で責任を重んじる性格で、規律を守り忍耐力が強いです。みずがめ座は独創的で自由を愛し、革新的な思考を持ちます。うお座は感受性が豊かで想像力に富み、芸術的な才能を持つことが多いとされています。
人間の性格には長所と短所が必ずあり、長所であるところが短所の裏返しであったりと複雑です。こうした性格は千差万別で、黄道十二宮だけでは到底分けられるものではありませんが、古代の人はこうした分類をある程度の目安とし、人付き合いの助けとしてきました。
黄道十二星座の多くはギリシャ神話と深い関係があります。星座の名前や形状が示す物語には、神々や英雄たちの冒険、愛、犠牲が込められています。
おひつじ座は、ギリシャ神話で黄金の羊として知られています。大神ゼウスが羊になって逃げた姿が、ゼウス自身によって「おひつじ座」とされたという説があります。おうし座は、ゼウスとエウロパの神話に由来し、ゼウスが白い雄牛に変身してエウロパをさらった後、牡牛座として天に昇りました。
しし座はギリシャ神話のネメアのライオンに由来します。このライオンはヘラクレスの12の試練の1つで倒され、その後星座となりました。しし座は強さと勇気の象徴です。星座記号は「獅子(ライオン)のたてがみ」をかたどっているという説と、「尻尾」をあらわしているという説があり、どちらにせよ百獣の王・ライオンを意味しており、獅子座が持つ王者としてのプライドを象徴しています。
いて座には複数の由来があります。ケンタウロスの賢者ケイロンがヘラクレスの毒矢に誤って当たり、その死を惜しんだゼウスがケイロンを天に上げて射手座にしたという説が有名です。他説では、芸術と音楽を司る女神たちムーサイの乳母エウペーメーと半獣の牧羊神バーンの子で、弓を発明したクロートスであるとされます。
てんびん座のマークは、ギリシャ神話の女神アストレアが手にする善悪を図る天秤がモチーフになっています。また、西に沈む太陽を表しているという説もあります。かんむり座はアリアドネのかんむりに由来し、アリアドネはテセウスに助けられ、彼女のかんむりは星座として天に昇りました。
12星座はそれぞれ火・地・風・水の4つのエレメント(元素)に分類されます。同じエレメント同士は価値観が似ているため相性が良いとされています。
火のエレメントに属するのは、おひつじ座、しし座、いて座です。情熱的で行動力があり、エネルギッシュな性格が特徴です。地のエレメントに属するのは、おうし座、おとめ座、やぎ座で、現実的で堅実、安定を重視する傾向があります。
風のエレメントに属するのは、ふたご座、てんびん座、みずがめ座です。知的でコミュニケーション能力が高く、自由を愛します。水のエレメントに属するのは、かに座、さそり座、うお座で、感情豊かで直感的、共感能力に優れています。
12星座で占う場合、同じ星座や同じエレメント同士の相性がいいとされています。火のグループ同士、風のグループ同士などで、大切にするものが同じため理解し合いやすいのです。また、火と風、地と水のように補完し合う関係も良好な相性とされます。
エレメントの種類は4種類で、おひつじ座から始まって火、地、風、水の順番で1つずつ星座が分類されます。結果的に12星座のうち3星座ずつが同じエレメントに分類される仕組みです。このエレメント分類は、西洋占星術における重要な要素の一つとなっています。
「黄道十二星座」と「黄道十二宮」は名前が似ているため混同されがちですが、実は異なる概念です。この違いを理解することで、星座占いへの理解が深まります。
黄道十二星座は、天球上の太陽の通り道である黄道に沿って並んだ12個の星座そのものを指します。実際の夜空に存在する星の集まりであり、天文学的な実体です。おひつじ座、おうし座、ふたご座といった星座は、それぞれ異なる大きさと形を持っています。
一方、黄道十二宮は星座そのものではなく、黄道上の領域を30度ずつ12等分したものを指します。これは占星術で用いられる概念で、春分点を起点として黄道を均等に分割した12の区画です。西洋占星術では牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座という12のサインがあり、これらのサインの日付は紀元前5世紀ごろから基本的に変わっていません。
興味深い点として、歳差運動の影響で現在では実際の星座の位置と黄道十二宮の位置にずれが生じています。約2000年前に設定された黄道十二宮は、当時の星座の位置に基づいていましたが、地球の自転軸のゆっくりとした変化により、現在では約1か月分のずれが生じているのです。しかし占星術では伝統的に黄道十二宮の区分を用いているため、星座占いの日付は変わっていません。
また、現在の天文学的な定義では、太陽は実際には13個の星座を通り越しています。歳差の影響で、かつては黄道12星座だけを通った太陽の道に、へびつかい座が新たに入ってきています。しかし人々が伝統的に12という数字を好むため、へびつかい座は黄道12星座としての地位を得ていません。このように、天文学的な事実と占星術の伝統は必ずしも一致していないのです。
黄道十二星座の歴史的背景と天文学的詳細については、こちらの参考資料をご覧ください
12星座の科学的な説明と黄道の仕組みについては、こちらで詳しく解説されています