からす座神話と構成する星|アポロンとカラスの伝説

からす座は4つの3等星が台形に並ぶ春の小さな星座。太陽神アポロンの怒りで真っ黒に染められたカラスの悲しい神話と、その星々の特徴を知っていますか?

からす座神話と構成する星

この記事でわかること
神話の背景

アポロンの使いだった白いカラスが黒く染められた経緯

構成する主な星

4つの3等星で描かれる台形の特徴的な形と星の名前

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観測のポイント

春の大曲線を使った見つけ方と観測時期

からす座のアポロン神話|白から黒へ変わった理由

 

からす座は古代ギリシャ神話において、太陽神アポロンの使いとして登場するカラスの物語に由来しています。このカラスはもともと全身が純白で輝く銀色の羽を持ち、人間の言葉を自由に話せる賢い鳥でした。アポロンは愛するテッサリアの王女コロニスと離れている間、このカラスを使者として毎日二人の間を往復させ、日々の出来事を伝え合っていました。

 

参考)https://seiza.imagestyle.biz/sinwa/karasu.shtml

ある日、カラスは道草をしてしまい時間が経過してしまいます。慌てて急いでコロニスの家を覗くと、彼女が一人の青年と一緒にいる姿を目撃しました。実はこの青年はコロニスの兄でしたが、遅刻を誤魔化そうとしたカラスは事情を確認せず、アポロンに「コロニスが不義を働いている」と偽りの告げ口をしてしまいます。

 

参考)【カラスが巻き込まれて「白」から「黒」に】テッサリアの王女コ…

激怒したアポロンはすぐにコロニスの元へ駆けつけ、話も聞かずに矢を放ってしまいました。息絶える直前、コロニスは「あなたが来てくれそうだったので、外で待っていました」と告げて亡くなります。真相を知ったアポロンは深く後悔し、今度はカラスに怒りをぶつけました。アポロンはカラスの美しい黄金の羽根を真っ黒に染め、人の言葉を話す力も奪い、「カァカァ」と鳴くだけの鳥に変えてしまいました。

 

参考)https://www.sendai-astro.jp/nishikouen/photo/con_album/con_sp/Crv.html

さらに近年広まった解釈では、からす座の四角形に並んだ星は、アポロンが見せしめのためにカラスを夜空に釘で打ちつけた姿だとも言われています。真っ黒なカラスは夜空では見えず、打ち付けた釘だけがきらきらと輝いて見えているという興味深い説です。なお、コロニスとアポロンの間に生まれた子どもは、後に医術の神となるアスクレピオス(へびつかい座のモデル)です。
youtube​
参考)https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/docs/pages/rika/rika_s/column/star/haru-menu/karasu.html

からす座の神話・伝説 - 星座図鑑(アポロンとカラスの詳細な物語が記載)

からす座を構成する星|4つの3等星と固有名

からす座は小さな星座でありながら、4つの3等星が台形状に並ぶ特徴的な形で目立ちます。主な構成星は以下の通りです:
参考)からす座とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書

  • 📍 γ(ガンマ)星 ギェナー(Gienah) - 2.58等でからす座で最も明るい星。固有名はアラビア語の「al-janāħ al-ghirāb al-yaman(カラスの右翼)」に由来しますが、現在の星座図では左翼として描かれています。2016年11月6日に正式承認されました。
  • 📍 β(ベータ)星 クラズ(Kraz) - 2.64等でγ星よりわずかに暗い3等星。
  • 📍 δ(デルタ)星 アルゴラブ(Algorab) - 3.0等で、アラビア語の「al-ghurab(カラス)」の意味を持ちます。
  • 📍 ε(イプシロン)星 ミンカル(Minkar) - 3等星。

これら4つの星で構成される四角形は、日本では古くから「四つ星」「帆かけ星」と呼ばれていました。帆がついた小さな船のように見えることからこの名がついたとされています。

また、α(アルファ)星アルキバ(Alchiba)は4等星で、アラビア語で「天幕」を意味します。α星にしては暗いため、かつてはもっと明るかったのではないかという説もあります。さらにζ(ゼータ)星は二重星として知られています。

 

参考)からす座 - Wikipedia

からす座の面積は約184平方度で、全天88星座中70位の大きさです。δ・γ・ε・β星からなる四辺形のアステリズムは「スピカの打ち粉」や「帆」とも呼ばれています。

 

参考)https://starwalk.space/ja/news/may-constellations-and-stars

からす座 - Wikipedia(からす座の詳細データと星の一覧)

からす座の見つけ方|春の大曲線を辿る

からす座は春から初夏にかけて南の空に見える星座で、正中時刻は5月10日21時頃です。小さく暗めの星座ですが、形がはっきりしているため意外に見つけやすい星座です。

 

参考)『春の大曲線』と『春の大三角』を使って春の星座を見つけよう!…

最も簡単な見つけ方は「春の大曲線」を利用する方法です。北斗七星のひしゃくの柄の部分を、そのまま曲がり具合に沿って南へ伸ばしていきます。すると、オレンジ色に輝くうしかい座のアークトゥルス、次に真珠のように白く輝くおとめ座のスピカという2つの明るい1等星を通過します。

 

参考)春の星空観察は北斗七星から、春の大曲線・春の大三角を探そう!…

スピカからさらに曲線を延長すると、その右下(西側)に小さな台形が見えてきます。これがからす座です。北斗七星から2つの1等星を通ってからす座まで続くこの滑らかな曲線が「春の大曲線」と呼ばれています。

 

参考)https://star-party.jp/wp/2015/04/20/%E6%98%A5%E3%81%AE%E6%98%9F%E5%BA%A7%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA-%EF%BC%8D%E3%81%9D%E3%81%AE%EF%BC%97%EF%BC%8D%E3%80%80%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%99%E5%BA%A7%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97/

からす座はおとめ座のスピカの右下(南西)に位置し、長大なうみへび座の背中に乗るような配置になっています。すぐ隣にはコップ座もありますが、コップ座の星はからす座よりも暗いため、やや観察しにくい星座です。

 

参考)からす座とコップ座|星や月|大日本図書

日本では春の南の空に低くかかるため、南の空が開けた場所での観測がおすすめです。4つの3等星が不等辺四角形を作る様子は、遠くからでもよく目につきます。

からす座の歴史|プトレマイオス48星座の一つ

からす座は歴史的に非常に古い星座で、紀元前1000年頃、あるいは紀元前3世紀頃にはすでに知られていました。バビロニア時代のころにはすでに星座の原型が作られていたとされています。

 

参考)おとめ座とからす座|星や月|大日本図書

2世紀の天文学者プトレマイオス(トレミー)がまとめた『アルマゲスト』に記載された「トレミーの48星座」の一つに含まれており、約1500年間にわたって用いられ続けてきました。トレミー星座は現在でも主要星座として使われており、全天88星座のうち48星座がこの古代の分類に由来しています。

 

参考)からす座|やさしい88星座図鑑

からす座はトレミー48星座の中で「黄道より南側の15星座」に分類されています。同じ南天の星座として、こいぬ座オリオン座おおいぬ座うさぎ座くじら座エリダヌス座アルゴ座みなみのうお座さいだん座ケンタウルス座おおかみ座、うみへび座、コップ座、みなみのかんむり座などが含まれます。

 

参考)トレミー星座(とれみーせいざ)とは? 意味や使い方 - コト…

ギリシャ神話では、からす座はアポロンの物語と一緒に語り継がれてきました。地味な星座でありながら、その形の特徴と神話の物語性から、古くから人々に親しまれてきた星座の一つです。

 

参考)https://ryutao.main.jp/mythology_24.html

おとめ座とからす座|星や月 - 大日本図書(からす座の歴史的背景)

からす座の触角銀河|二つの銀河が衝突する天体

からす座には、メシエ天体はありませんが、触角銀河(アンテナ銀河)と呼ばれる有名な天体があります。正式名称はNGC4038/NGC4039で、からす座に位置する銀河の対です。

 

参考)からす座の天体と位置がわかる星図や写真|天体写真ナビ

この天体の最大の特徴は、NGC4038とNGC4039という2つの銀河が現在進行形で衝突しているという点です。互いの重力(潮汐力)によって両方の銀河から長い腕状の構造が伸びており、その姿が昆虫の触角のように見えることから「触角銀河」「アンテナ銀河」という愛称がつけられました。

 

参考)アンテナ(触角)銀河(NGC4038・4039)

2つの銀河の渦は互いの重力によって大きく乱れており、迫力ある姿を見せています。長いしっぽ(触角)は画像では微かにしか写りませんが、大型望遠鏡で観測すると見ごたえのある天体です。小さく暗い天体のため、観測には中型以上の望遠鏡が必要となります。

 

参考)https://seiza.imagestyle.biz/haru/karasumain.shtml

この銀河衝突は、宇宙における銀河進化の過程を直接観察できる貴重な例として、天文学的に非常に重要な天体とされています。からす座は小さく目立たない星座ですが、このような珍しい形をした銀河を持つことで、天体観測ファンの間では知られた存在となっています。

アンテナ(触角)銀河(NGC4038・4039) | 佐久市ホームページ(触角銀河の詳細な撮影データと解説)

 

 


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