うしかい座神話と構成する星、春の夜空の見つけ方

春の夜空を彩るうしかい座には、アークトゥルスという明るい星や、ギリシャ神話に登場するアルカスやアトラスの伝説が込められています。この星座を形作る星々の特徴や、神話の奥深さをご存じですか?

うしかい座の神話と構成する星

この記事で分かること
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うしかい座の神話

狩人アルカスと天を支える巨人アトラスの伝説

構成する主な星

アークトゥルスを中心とした明るい星々の特徴

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観測方法

北斗七星から辿る春の大曲線と見つけ方のコツ

うしかい座の神話:狩人アルカスの伝説

 

うしかい座のモデルは、ギリシャ神話に登場する狩人アルカスの姿だと広く伝えられています。アルカスは大神ゼウスと森のニンフであるカリストの間に生まれた息子で、優れた狩りの腕を持つ青年として育ちました。母カリストはゼウスの妻ヘラの嫉妬により熊の姿に変えられてしまい、その後おおぐま座となります。

 

参考)https://seiza.imagestyle.biz/sinwa/usikai.shtml

うしかい座は左手に二匹の猟犬(りょうけん座)を連れ、右手には剣や槍、こん棒を持った狩人の姿で描かれています。かつての星座絵では、うしかい座はおおぐま座の方を向いて描かれており、これは母カリストを追いかける姿を表現していました。実際に夜空でも、うしかい座はおおぐま座を追いかけるように天を巡っています。

うしかい座のα星アークトゥルスは、ラテン語で「熊の番人」という意味を持ち、狩人アルカスの物語と深く結びついています。この名前の由来からも、アルカスが熊となった母を見守り続ける姿が星座に込められていることが分かります。

うしかい座の神話:天を支える巨人アトラス

うしかい座にはもう一つの神話があり、天を支える巨人アトラスの姿だとも伝えられています。アトラスはティタン神族の一員で、ゼウス率いるオリンポス神族と激しい戦争を繰り広げました。この戦いは10年にも及ぶ長期戦となりましたが、最終的にティタン神族は敗北します。

 

参考)【星空マスター便り vol.13】春の星座~うしかい座編~

敗北したアトラスは、ゼウスから罰として天を支え続けることを命じられました。それ以来アトラスは天が落ちてこないように永遠に支え続ける運命を背負い、その姿がうしかい座になったとされています。うしかい座の星の並びを見方を変えると、確かにアトラスが天を支えているようにも見えるのです。

アトラスは穏やかな性格で争いを好まなかったと言われており、やむなく戦いに参加したとされています。また、英雄ペルセウスが怪物メデューサを退治した後、アトラスはペルセウスにメデューサの首を見せてもらい、石となって永劫の苦しみから逃れたという伝説も残されています。現在のアフリカ北部にあるアトラス山脈が、その石になったアトラスの姿だと言われています。

 

参考)https://ryutao.main.jp/mythology_08.html

うしかい座を構成する明るい星々

うしかい座を形作る星々の中で、最も輝いているのがα星アークトゥルスです。この星は見かけの等級が-0.05等と非常に明るく、全天で見える単独の恒星としてはシリウスカノープスに次いで3番目に明るい星です。アークトゥルスは地球から約36.7光年の距離にあり、オレンジ色に輝く赤色巨星として春の夜空で存在感を放っています。

 

参考)うしかい座 - Wikipedia

うしかい座には他にも特徴的な星が多数含まれています。β星ネカル、γ星セギヌスといった明るい星々が、ネクタイを逆さにしたような独特の形を作り出しています。特にλ星は「うしかい座λ型星」と呼ばれる変光星のプロトタイプとなっており、水素バルマー線から求めたスペクトル型と金属線が特異な性質を示すことで知られています。

 

参考)うしかい座|星や月|大日本図書

うしかい座には約140個の肉眼で見える星があり、0等星1個、2等星1個、3等星3個、4等星10個が含まれています。またτ星は1996年に太陽系外惑星が発見された最初期の事例として、天文学史上重要な星となっています。このように、うしかい座は神話的な魅力だけでなく、天文学的にも興味深い天体が集まる星座なのです。

 

参考)うしかい座ってどんな星座?【神話も紹介】

うしかい座と春の大三角形の関係

アークトゥルスは、春の夜空に輝く「春の大三角形」を形成する重要な星の一つです。この三角形は、うしかい座のアークトゥルス、おとめ座のα星スピカ、しし座のβ星デネボラを結んで作られる大きな天文パターンで、春の星座を見つける際の重要な目印となっています。

 

参考)うしかい座|星や月|大日本図書

春の大三角形は正三角形に近い美しい形をしており、春の夜空で最も目立つ星の配列の一つです。アークトゥルスのオレンジ色、スピカの青白い光、デネボラの白い輝きという3つの異なる色彩が、春の星空に彩りを添えています。この三角形を見つけることができれば、それぞれの星座の位置関係も自然と理解できるようになります。

 

参考)うしかい座について知ろう!【春の夜空に輝く星の守護者】 〜天…

また、北斗七星の柄の部分を延長した曲線は「春の大曲線」と呼ばれ、まずアークトゥルスにたどり着き、さらに延ばすとスピカに到達します。この大曲線と春の大三角形は、春の星座観測における最も基本的で覚えやすい目印となっており、初心者でも簡単に星座を探すことができる方法として広く知られています。

 

参考)うしかい座の探し方|星座を見つけよう

うしかい座の見つけ方と観測のコツ

うしかい座を見つける最も確実な方法は、北斗七星を利用することです。まず北の空で北斗七星を探し、そのひしゃくの柄の部分のカーブをそのまま延長していくと、明るいオレンジ色の星にたどり着きます。これがアークトゥルスで、この星を見つければうしかい座の位置が分かります。

 

参考)うしかい座

アークトゥルスの周囲には、ネクタイを逆さにしたような形で星が並んでおり、これがうしかい座の全体像です。春の夜、東寄りの空にオレンジ色の明るい星を見つけたら、それがアークトゥルスである可能性が高く、北斗七星からたどって確認することができます。この探し方を覚えれば、うしかい座は春の星座の中でも最も見つけやすい星座の一つとなります。

 

参考)うしかい座|月と星|暦生活

観測に適した時期は3月から7月頃で、特に4月から6月の春の夜が最適です。街明かりの少ない郊外や山間部では、アークトゥルス以外の星々もはっきりと観察できます。春は空気がクリアで観測条件が良い一方、夜は冷え込むこともあるため、軽い防寒具を用意しておくと快適に星空観測を楽しめます。

Honda公式サイトでは、うしかい座の詳しい見つけ方と春の星座ガイドが掲載されています

うしかい座に伝わる日本の文化と呼び名

日本では、アークトゥルスは古くから「麦星」という愛称で親しまれてきました。これは、この星が春の夜空に明るく輝く時期が、ちょうど麦の収穫期と重なることから名付けられた呼び名です。農耕を営む日本人にとって、アークトゥルスの出現は麦の実りを知らせる大切な季節の目印となっていたのです。

 

参考)【気になる星座!】アークトゥルス /Arcturus (うし…

うしかい座という和名自体も興味深い由来を持っています。英語では「Bootes」と呼ばれ、これはギリシャ語で「牛飼い」や「耕作者」を意味する言葉に由来しています。しかし実際の神話では牛を飼う場面は登場せず、狩人や天を支える巨人の姿として描かれており、名前と神話の内容にはやや矛盾があります。

 

参考)古典作品に見る星座神話⑥うしかい座|丹取惣吉

日本の星座文化においては、うしかい座のアークトゥルスは夏の訪れを告げる星としても認識されてきました。柔らかな黄色みがかったオレンジ色の光は、日本人の感性に訴える温かみのある輝きとして、多くの文学作品や俳句にも登場しています。このように、うしかい座は西洋の神話だけでなく、日本独自の文化的背景を持つ星座でもあるのです。

 

 


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