コルカロリ星とりょうけん座で春のダイヤモンド探し

コルカロリ星はチャールズ2世の心臓という意味を持つりょうけん座の輝き。春のダイヤモンドを形作り二重星としても美しく、北斗七星から簡単に見つけられます。あなたもコルカロリ星を探してみませんか?

コルカロリ星と春のダイヤモンド

コルカロリ星の魅力
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王の心臓という名を持つ星

チャールズ2世の即位を祝福し、ハレーが命名した歴史的な由来を持つ

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春のダイヤモンドを形成

春の大三角にコルカロリを加えた美しいダイヤモンド形の星の配置

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二重星の神秘的な輝き

小口径望遠鏡でも観測できる黄色と青白い色の寄り添う二重星

コルカロリ星とりょうけん座の位置関係

コルカロリはりょうけん座で最も明るい恒星で、3等星として春の夜空に輝いています。りょうけん座は、うしかい座につれられておおぐま座を追いかける2匹の猟犬を表した星座で、星座絵では北側の犬をアステリオン、南側の犬をカーラと呼びます。コルカロリは南側の犬カーラの首の位置にあり、周りに明るい星がないため3等星でありながら意外に目立つ存在です。

 

参考)りょうけん座アルファ星 - Wikipedia

北斗七星から探すとわかりやすく、北斗七星のあるおおぐま座に隣接しているため、北斗七星の南側、柄と平行に並ぶ2つの星の東側がコルカロリです。春の大三角と北斗七星の間にぽつんと見える星として、初心者でも比較的容易に発見できます。

 

参考)https://turupura.com/guide/star/korukarori.html

観測に適した時間帯は、春の夜空で北斗七星が見える時期、特に4月から5月の夜が最適です。日没1時間後から1時間30分後が観察しやすい時間帯とされています。

 

参考)コル・カロリ - 『科学館日記』

コルカロリ星が形作る春のダイヤモンド

春のダイヤモンドは、うしかい座のアルクトゥルス、おとめ座スピカしし座デネボラの春の大三角にコルカロリを加えることで形成される大きなダイヤモンド形の星の並びです。このダイヤモンド形は春の星座を探す際の重要な道しるべとなっています。

 

参考)りょうけん座とは?見つけ方や見どころ

アルクトゥルスは全天で3番目に明るい恒星で、オレンジがかった色で街中でも見つけられるほど明るく輝いています。スピカとデネボラとともに作る春の大三角は、春の夜空の基本的な星の配置として知られており、そこにコルカロリを加えることでより壮大な星の幾何学模様が完成します。

 

参考)https://turupura.com/guide/mark/harunodaiyamondo.htm

春のダイヤモンドを見つけるには、まず北斗七星の柄のカーブを延長してアルクトゥルスを見つけ、さらに延ばしてスピカを探します。次にしし座のデネボラを確認し、最後に北斗七星の南側にあるコルカロリを見つければ、4つの星を結んでダイヤモンド形が完成します。

 

参考)https://ameblo.jp/kamaten2/entry-12932022727.html

コルカロリ星の二重星としての美しさ

コルカロリは光度差の大きい二重星として知られており、口径6cmの小型望遠鏡でも2つの星に分かれて見えます。黄色い星と青白い色の星が寄り添う姿は、望遠鏡で観察するとなんともかわいらしく、天文愛好家に人気があります。

 

参考)https://www.shibatashinpei.jp/lib/yamashin/619-body.html

2つの星が寄り添う様子は、まるで双犬の星座にふさわしい姿です。小口径の望遠鏡でも良く見える綺麗な二重星であるため、天体観測の初心者にもおすすめの観測対象となっています。

 

参考)https://star-party.jp/wp/2017/04/09/%E5%8F%8C%E7%9C%BC%E9%8F%A1%E3%81%A7%E6%98%9F%E7%A9%BA%E8%A6%B3%E5%AF%9F%E5%85%A5%E9%96%80%E3%80%8059/

二重星の観測は、星の色の違いや明るさの違いを楽しめるため、単独の星を見るよりも魅力的な体験となります。コルカロリの場合、2つの星の色のコントラストが美しく、望遠鏡の倍率を変えながら観察することで、より細かな特徴を楽しむことができます。

 

参考)星座八十八夜 #81 大熊を追いかけている2匹の猟犬「りょう…

コルカロリ星の名前の由来とチャールズ2世

コルカロリという星の名前は、ラテン語で「チャールズの心臓」を意味します。ここでいうチャールズとは、17世紀のイギリスの王様であるチャールズ2世のことを指しています。

 

参考)春の星座「りょうけん座」の見つけ方を紹介します

1649年1月、イギリスではピューリタン革命により国王チャールズ1世が処刑され、息子のチャールズ2世はヨーロッパの国々に亡命しました。しかし情勢の変化により、1660年5月29日、チャールズ2世はパリからロンドンへ戻り、王位に就くことができました。

 

参考)https://tupichan.net/Cosmos/Com-CVn.html

この王政復古の即位の前夜、りょうけん座のひとつの星が突然異常なほど明るく輝きだしたと伝えられています。これを目撃した王の侍医チャールズ・スカーボロー卿が、「ハレー彗星」で有名な天文学者エドモンド・ハレーに伝え、ハレーは「天も平和を祝福しておられたのであろう」として、その星に「コル・カロリ(チャールズの心臓)」と名付けたのです。

ただし、チャールズ2世が即位した1660年当時、ハレーはまだ3歳だったため、実際に命名したのはハレーではなく、星が明るく輝く様子を見ていた国王の侍医ではないかという説もあります。いずれにせよ、ハレーが台長として活躍したロンドンのグリニジ天文台の設立には、チャールズ2世が深く関与していたため、ハレーとチャールズ2世には深い縁があったことは確かです。

 

参考)https://www.city.hachioji.tokyo.jp/shisetsu/003/p005064_d/fil/2022-6hoshizora.pdf

古星図では、コルカロリの位置に王冠をかぶったハートの絵が描かれており、実在の人物であったイギリス国王を称えて名付けられた珍しい星として知られています。

コルカロリ星から観測できる子持ち銀河M51

りょうけん座の領域には、メシエ天体の中でもかなり人気の高いM51、通称「子持ち銀河」があります。M51は地球から約2300万光年から2700万光年の距離にある渦巻銀河で、大きな銀河の腕の端に小さな銀河NGC5195がつながっているように見えることから、この愛称がつけられました。

 

参考)子持ち銀河 M51(系外銀河、りょうけん座)

コルカロリの位置を基準にすると、M51は北斗七星の柄の端の星とコルカロリを結ぶ線上の、北斗七星に近いところに位置しています。また、おおぐま座との境界に近いところ、具体的には北斗七星の柄杓の柄の方の一番端のη星アルカイドのすぐ西側にあります。

 

参考)星空案内 - 2024年5月の星空

大きいほうの銀河は比較的明るいので、空の条件が良ければ双眼鏡でも見つけられる可能性があります。大きい方の銀河NGC5194は渦巻銀河として分類され、小さい方のNGC5195は不規則あるいは楕円銀河とされています。

 

参考)子持ち銀河-M51-NGC5194,5はどんな天体か紹介しま…

この2つの銀河は並列に並んでいるように見えますが、実際には大きな銀河の背後を小さな銀河が移動しており、通過する際に潮汐力を及ぼして星の形成を促していると考えられています。ハッブル宇宙望遠鏡により、生まれたばかりの散開星団や星雲物質が渦状腕で観測されており、M51の腕に広がる活発な星生成領域が見つかっています。

 

参考)https://www.astroarts.co.jp/alacarte/messier/html/m51-j.shtml

大きい方の銀河の中心部には超大型ブラックホールの存在も確認されており、天文学的に非常に興味深い観測対象となっています。M51は渦巻銀河を真上から見た姿をしているため、銀河の構造を理解するうえでも重要な天体です。