FGOにおける「アルゴー号ゆかりの者」特性を持つサーヴァントは、ギリシャ神話の冒険物語「アルゴー号の大航海」に登場した英雄たちです。この特性を持つサーヴァントには、船長イアソンをはじめ、メディア、メディアリリィ、ヘラクレス、アタランテ、ケイローン、アスクレピオス、キルケー、ディオスクロイ、テセウス、カイニス、パリス、ネモ、ノア、水着カイニス、ネモサンタ、アタランテオルタの合計17騎が含まれます。
参考)【FGO】「アルゴー号ゆかりの者」特性を持つサーヴァント一覧…
これらのサーヴァントは主に男性キャラクターが多く、「ギリシャ神話系男性」特性も併せ持っている場合がほとんどです。イアソンのスキル「友と征く遙かなる海路」は、自身以外のアルゴー号ゆかりの者のNPを増やし、クリティカル威力とスター発生率を上昇させる特殊な効果を持っています。このシステムにより、アルゴナウタイのサーヴァント同士を組み合わせた編成が可能になり、神話の冒険隊を再現できる仕組みとなっています。
参考)【FGO】イアソンのスキル・宝具と評価
FGOのマスターミッションやフリークエストでも「アルゴー号ゆかりの者」を倒すといった条件が設定されることがあり、この特性を理解することがゲーム攻略において重要な要素となっています。
参考)【FGO】フリークエスト検索ツール
アルゴ座は、ギリシャ神話に登場する大帆船アルゴー号に由来する南天の星座で、2世紀にプトレマイオスによってまとめられた「トレミーの48星座」の1つでした。この星座は、古代エジプトの「オシリスの船」と同定されており、古代メソポタミア起源の他のギリシャ星座とは異なる特徴を持っています。紀元前4世紀の古代ギリシアの天文学者クニドスのエウドクソスの著書『ファイノメナ』にも既にその名前が記載されていました。
アルゴ座の特徴的な点は、その巨大さにあります。あまりにも大きすぎたため、現在では「りゅうこつ座」「とも座」「ほ座」「らしんばん座」の4つの星座に分割されています。興味深いことに、アルゴ座は船の後ろ半分しか描かれていません。これはアラートスによれば、アルゴー号が後ろ向きに進んでいる様子を表したもので、船が目的地に着き停泊するときの様子を示しているとされています。
参考)古典作品に見る星座神話㉞とも座、ほ座、らしんばん座、りゅうこ…
FGOにおいては、ボイジャーというサーヴァントがアルゴ座と深い関わりを持っています。星座にはかつて「アルゴ座」というイアソンが指揮した船を表す星座があり、分割されるまで最大と言われた星座の船「アルゴー号」の持ち主であるイアソンとボイジャーの間にはマイルーム会話が設定されています。このように、FGOでは神話と星座の繋がりが巧みにゲームシステムに組み込まれているのです。
参考)Reddit - The heart of the inte…
アルゴナウタイは、ギリシア神話においてコルキスの金羊毛を求めてアルゴー船で航海した英雄たちの総称です。ギリシア語のἈργοναύται(Argonautai)は「アルゴーの船員」を意味するἈργοναύτης(Argonautēs)の複数形で、まさにギリシャ神話の「ドリームチーム」と呼ぶべき一団でした。
参考)https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B4%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%BF%E3%82%A4
船長イアソンのもとに集ったのは、ヘラクレス、テセウス、アタランテ、ペレウス(アキレウスの父)、ケイローン、アスクレピオスなど、後世に名を残す錚々たる英雄たちです。特にアタランテは、この冒険における唯一の女性メンバーとして参加し、冒険の後にはペレウスとレスリングで勝利したという逸話を残しています。
航海の途中では、盲目の予言者ピーネウスを襲うハルピュイアを撃退し、航海の助言を得たり、シュムプレーガデスの岩という移動する岩の間を通り抜けるなど、数々の試練を乗り越えました。女神アテナの祝福を受けて出航し、オルフェウスが竪琴を奏でながらエーゲ海に出たという描写は、この冒険の華やかさを象徴しています。
参考)https://seiza.imagestyle.biz/sinwa/argo.shtml
興味深いことに、アスクレピオスのアルゴー船乗船については、神話の記述が少なく、後世になって「人気の医神アスクレピオスも実は船に乗っていた」というバージョンが生まれていった可能性が指摘されています。これは、信仰や人気が高まるにつれて、英雄たちの物語に追加要素が組み込まれていく神話の特性を示す好例と言えるでしょう。
イアソンは、ギリシャ東部テッサリアの都市イオルコスの王座を叔父によって追われた父を持ち、王位継承者として成長しました。叔父のペリアースは、イアソンから王位を奪い返されることを恐れ、「コルキスの黄金の羊の毛皮(金羊毛)を持ち帰れば王位を譲る」という困難な課題を突きつけました。これは他国の王子が王女との結婚によって王位継承者となるため、王から課せられた試練という神話の典型的なパターンです。
イアソンは女神アテナの加護を受けて建造されたアルゴー号に、ギリシャ中から集まった英雄たちを乗せて出航しました。コルキスに到着後、イアソンは王アイエーテースから火を吐く牛を手なずけ、竜の牙を蒔いて生まれた戦士を倒し、眠らない竜が守る金羊毛を奪うという不可能に近い試練を課されます。しかしアイエーテースの娘メーデイア(メディア)の魔術の助けにより、イアソンはこれらの試練を乗り越え、金羊毛の獲得に成功しました。
参考)http://azfa2.jp/tenmondai/hosinoshasin/seiza/fuyu/argo_navis.html
帰路ではメディアが自分の幼い弟を殺して海に投げ込み、追手の船を遅らせるという凄惨な手段を取りました。この弟殺しの罪によってアルゴー号には呪いがかかり、魔女キルケーの助けを借りて呪いを解く必要がありました。FGOではこのエピソードがキルケーの幕間の物語「アルゴー号の呪い」で語られており、ゲーム内でも神話の重要な場面が再現されています。
参考)【FGO】オケアノスのキャスター幕間1「アルゴー号の呪い」の…
イアソンの末路は悲劇的でした。メディアを捨てて別の王女と結婚しようとしたため、メディアは新しい花嫁と自分の子供たちまで殺害し、竜の引く戦車で去っていきました。その後イアソンは放浪の末、アルゴー船の残骸のそばで過去を懐かしみながら寝ていたところ(Fateでは心身ともに疲れ果てて自殺を図った矢先)、その下敷きになって死んだという寂しい最期を迎えます。華々しい冒険を成し遂げながら、その末路はあまりに悲惨で寂しいものであったと言えるでしょう。
アルゴー船とアルゴナウタイの物語は、現代の様々な分野に意外な形で影響を与えています。生物学の世界では、タコブネの英名が「Argonauta」(アルゴナウタ)とされており、これはアルゴナウタイに由来しています。タコブネのメスが作る薄い殻が船のように見えることから、この優雅な名前が付けられました。海を渡る英雄たちの船と、海に浮かぶタコの殻という連想は、古代神話が生物の命名にまで影響を及ぼしている興味深い例です。
物理学の分野でも、ギリシャ神話は数多くの実験、機械、コード、現象の命名に使用されています。アルゴー船を含むギリシャ神話の物語群は、科学者たちに創造性とインスピレーションを与え続けています。これは、古代の物語が持つ普遍的な魅力と象徴性が、現代科学においても価値を持ち続けていることを示しています。
参考)http://arxiv.org/pdf/2210.10623.pdf
FGOにおいても、ボイジャーというサーヴァントがアルゴ座との深い繋がりを持っており、第三再臨ではイアソンとの特別な会話が設定されています。これは「かつて最大と言われた星座の船『アルゴー号』の持ち主」であるイアソンと、探査機ボイジャーという現代の「宇宙の旅人」を繋ぐ巧みな設定です。古代の航海者と現代の宇宙探査機という時空を超えた対話は、人類が常に未知の領域を探求し続けてきた歴史を象徴していると言えます。
参考)ボイジャー (Grand Order) - TYPE-MOO…
星座としてのアルゴ座が4つに分割された理由については、天体の位置を表わしにくいという実用的な理由が挙げられていますが、元の「アルゴ座」として捉えた方が形をたどりやすいという意見もあります。この巨大な星座の分割は、古代の壮大な物語が現代の実用性に合わせて再編成される過程を示しており、神話と科学の関係性を考える上で示唆に富んでいます。
FGO「アルゴー号ゆかりの者」特性を持つサーヴァント一覧 - AppMedia
アルゴー号ゆかりのサーヴァント全17騎の詳細情報と特性について解説されています。
アルゴ座 - Wikipedia
アルゴ座の歴史、古代エジプトとの関連、4つの星座への分割について詳しく記載されています。
アルゴー船の神話とアスクレピオス(FGO) - 神降るる
アスクレピオスがアルゴー船に乗船した経緯と、神話のバージョン違いについて考察されています。