くじゃく座で最も明るい星は、α星の「ピーコック」と呼ばれる2等星です。この固有名は英語で「オスのクジャク」を意味し、1930年代にイギリス空軍機用の天測暦が作成された際に命名されました。船舶や航空機の天測航法でよく用いられる57の恒星のうち、ピーコックとりゅうこつ座ε星の2個のみが当時固有名を持っていなかったため、実用的な目的で名付けられた経緯があります。2016年7月20日には、国際天文学連合によって正式な固有名として承認されました。
参考)くじゃく座ってどんな星座?【神話も紹介】
ピーコックは青白く輝く美しい星で、全天でも明るい星の一つに数えられます。星座絵では孔雀の頭の位置に描かれており、くじゃく座のシンボル的な存在です。この星は分光連星で、主星の周りを伴星が11.8日という短い周期で周回している連星系でもあります。日本では南方の地域でさえほとんど見ることができませんが、南半球では周りに明るい星がないことから、比較的容易に確認することができます。
参考)くじゃく座アルファ星 - Wikipedia
くじゃく座を構成する星は、このピーコック以外はほとんどが暗い星ばかりで、全体としては地味な印象を与える星座です。肉眼で見える星の数は約80個とされ、4等星9個、5等星17個、6等星49個などが確認されています。華やかな孔雀をモチーフにした星座でありながら、実際の夜空ではそれほど目立たない存在となっているのが興味深い点です。
参考)https://ryutao.main.jp/mythology_29.html
くじゃく座には、観測価値の高い天体として球状星団NGC6752があります。この球状星団は視等級5.4等と明るく、球状星団としてはケンタウルス座のオメガ星団、きょしちょう座47に次いで全天で3番目に明るい天体です。視直径は約20分角で、満月の半分ほどの大きさがあります。北半球で代表的な球状星団M13(光度5.9等・視直径16.6分角)よりも大きく明るいにもかかわらず、南天に位置するためかメシエ番号はついておらず、固有名称もない地味な存在となっています。
参考)くじゃく座
NGC6752は南半球では肉眼でも見ることができ、望遠鏡を使えば数多くの星々を観察することが可能です。この球状星団の年齢は約117.8億年と推定され、非常に古い天体であることがわかっています。地球からの距離は約13,000光年で、質量は太陽の14万倍にも達します。金属量は[Fe/H]=-1.24dexと少なく、宇宙初期に形成された古い世代の星々で構成されていることを示しています。
参考)NGC 6752 - Wikipedia
天体写真愛好家にとっても魅力的な対象で、中型以上の望遠鏡で美しい星の集団を撮影することができます。位置はいて座の南斗六星からずっと南方に向かった場所にあり、南半球の観測者にとっては見つけやすい天体です。ハッブル宇宙望遠鏡による観測では、球状星団内部の個々の星まで詳細に捉えられており、その圧倒的な星の密集度が明らかになっています。
参考)オーストラリアの50cm望遠鏡で南天の大型球状星団を撮影(N…
くじゃく座自体は16世紀末に作られた新しい星座であるため、古代からの神話や伝説は伝わっていません。しかし、そのモチーフとなった孔雀には、古代ギリシャ神話における興味深い物語があります。孔雀は女神ヘラの聖なる象徴として知られ、美しさや権威、そして監視の目を象徴する動物とされていました。
参考)https://seiza.imagestyle.biz/minami/kujyaku.shtml
この物語の中心には、百眼の巨人アルゴスが登場します。アルゴスは全身に100個の目を持つ巨人で、女神ヘラの命を受けて、最高神ゼウスの愛人イオを見張る任務についていました。24時間体制で全方位を監視できる有能な番人でしたが、ゼウスはイオを救うため、伝令神ヘルメスにアルゴスを倒させます。悲しんだヘラは、忠実な巨人の死を悼み、その100個の目を自身の聖鳥である孔雀の羽に移し替えたとされています。
参考)ギリシャ神話における「孔雀」の伝説
こうして孔雀の羽に散りばめられた美しい「目」の模様は、アルゴスの目が蘇ったものであり、ヘラがあらゆる方向に目を光らせてすべてを見張る存在であることを示すシンボルとなりました。ヘラは殉職したアルゴスの油断を責めることなく、これまでの忠義と貢献に敬意を表し、その目を孔雀の羽という形で永遠に残したのです。東南アジアの文化でも、孔雀は神聖な鳥として崇められ、知恵と美の象徴とされてきました。
参考)【最高神夫婦の痴話喧嘩のあおりで命を落とす】百眼の巨人アルゴ…
くじゃく座は南天の星座であり、日本からは沖縄や九州南部など一部の地域でしか観測できません。具体的には、熊本より南に位置する地域であれば、その一部を見ることができるとされています。星座の北端近くにあるα星ピーコックでさえ赤緯-56度付近に位置しており、北緯33度ほどの大分のような場所では、南の地平線まで完全に開けた場所でも見えるか見えないかの限界線上にあります。
参考)くじゃく座α星ピーコック撮影 限界3星コンプリート! : c…
くじゃく座は天の川の中心があるいて座のずっと南方に位置し、みなみのさんかく座の下辺りを探すと比較的見つけやすいでしょう。南半球のオーストラリアでは、天の南極のそばにあるため一年中沈むことがなく、1月には南の地平線近くに、7月には南の高いところに見える星座です。20時に南中する時期は9月5日頃とされ、南中高度は約-11度となります。
参考)星座八十八夜 #64 美しい鳥の星座「くじゃく座」 - アス…
南半球では、周りに明るい星が少ないため、ピーコックを目印にして星座を見つけることができます。さそり座の尻尾から南へ下がっていくと目につく2等星として確認できます。星座絵では孔雀の華やかで美しい羽根が描かれ、全体としては割りと大きい星座となっていますが、実際には暗い星が多いため、都市部の光害がある場所では観測が困難です。
参考)南半球の星座「くじゃく座」を紹介します。
くじゃく座には、球状星団NGC6752以外にも注目すべき天体があります。その一つが渦巻銀河NGC6744で、地球から約3000万光年離れた位置にあります。この銀河の直径は約17万5000光年で、われわれの天の川銀河よりも大きい規模を持っています。興味深いことに、NGC6744は局所銀河群(天の川銀河などが属する銀河群)のほかの銀河と比べると天の川銀河によく似た構造を持っており、「天の川銀河の兄のような銀河」とも表現されます。
参考)くじゃく座の渦巻銀河NGC6744 写真1枚 国際ニュース:…
NGC6744は棒渦巻銀河と渦巻銀河の中間型に分類され、ぼんやりとした腕を持つ美

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