ベレニケ石膏像として知られるこの胸像は、ルーブル美術館に所蔵されている古代遺物を原型としています。興味深いことに、ルーブル美術館のベレニケ像は頭部のみが古代遺物として発掘され、胸部は後世の彫刻家が補足したものです。この頭部は古代ギリシャのオリジナル作品とされ、帝政ローマ期のイシス信仰に関わるものと推定されています。
参考)K-107 パジャント胸像|石膏像ドットコム(脇本)
日本の美術界では「パジャント」という呼び名で広く知られていますが、この呼称は日本独自のものです。本来の名前は「ベレニケ」であり、古代エジプト・プトレマイオス朝の王妃をモデルにしているとされています。美大受験を通った人々は全員「パジャント」と答えるほど、この名称が日本の美術教育に深く浸透しています。
参考)6月の石膏像「パジャント」と「ギリシャ婦人」
原型の像は古代の歴史的背景を色濃く反映しており、ヘレニズム・ローマ期にエジプト起源のイシス神がローマ世界で広く崇拝されていた時代の宗教的な文脈を持っています。ベルリンの旧博物館にも同様の巻き毛を持つベレニケ2世像が収蔵されており、額のあたりに特徴的な巻き毛が見られます。
参考)12月の石膏像 パジャント
ベレニケ石膏像の最大の特徴は、額から流れるグリグリとした巻き髪です。この巻き毛の表現は、デッサンにおいて重要な技術的課題となります。巻き毛を描く際には、毛束が円筒形にカールする立体構造を理解することが不可欠です。
参考)髪形も髪質も自由自在!立体を意識した髪の描き方
デッサンの基本として、巻き毛はリボンを描くようにフォルムを単純化し、先端に近づくにつれて細くなる様子を観察します。カーブの方向に沿って髪の質感を追加し、表面に合わせて輪郭に凹凸を加えることで、立体感が生まれます。このとき、ラインを完全にまっすぐにしてしまうとバネのように見えてしまうため注意が必要です。
石膏デッサンでは、形をきちんと計測して合わせること、明暗境界線をはっきりさせて色を丁寧につけること、暗部は省略して明部の立体を描くことが重要です。特にベレニケ石膏像のような複雑な巻き毛を持つモチーフでは、形の狂いが目立ちやすいため、形を合わせるプロセスに最も時間を割く必要があります。
参考)石膏デッサンを描くコツ
描く際は手首ではなく肩から動かすと線がブレにくくなります。また、明暗を3段階以上で表現し、光源を意識しながら、描いたところを手や布、擦筆などで押さえてなじませ、再び鉛筆を乗せて練り消しで取る作業を繰り返すことで、奥行きや質感を作り上げていきます。
参考)デッサンで石膏像を描く時の考え方とは?
ベレニケ石膏像のモデルとなったベレニケ2世(紀元前266年~紀元前220年)は、古代エジプト・プトレマイオス朝のファラオであり女王でした。彼女はキュレネ王メガスとシリア王アンティオコス1世の娘アパメー2世の娘として生まれ、プトレマイオス3世の妃となりました。
参考)ベレニケ2世 — Google Arts href="https://artsandculture.google.com/entity/m0lfql?hl=ja" target="_blank">https://artsandculture.google.com/entity/m0lfql?hl=jaamp; Culture
ベレニケ2世は、夫のシリア遠征(第三次シリア戦争、紀元前246年~紀元前241年頃)に際し、かみのけ座の神話を残しています。夫が無事に戻ったならば、美しく有名であった自分の髪を美の女神アフロディテに捧げることを誓いました。その髪は黄金のように輝き、香りは花よりも甘かったと伝えられています。
参考)「かみのけ座」になったベレニケ2世の美髪
ところが翌朝、奉納された髪が消失してしまいました。王と王妃が激怒する中、宮廷付きの天文学者コノンが進み出て、「女神は王妃様の美しい髪の毛が捧げられたことを喜び、天に上げて星座にした」と説明し、夜空の獅子座の尾のあたりを示しました。このコノンはアルキメデスのらせん研究の先駆者としても知られています。
こうして誕生した「かみのけ座(Comae Berenices)」は、本来の名前が「ベレニケの髪の毛」を意味し、実在の人物に由来する珍しい星座です。古代ローマ時代にはすでにこの星座が設定されていたとされ、その歴史は相当古いものです。
参考)かみのけ座の探し方と神話〜春のダイアモンド(乙女のダイヤ)と…
石膏像には首像、胸像、トルソー、全身像などがあり、それぞれ難易度が異なります。ベレニケ石膏像は胸像に分類され、首像よりも難易度が高い部類に入ります。石膏デッサン初心者には、「面」を整理しやすく塊の感じを捉えやすい像が推奨されます。
参考)石膏デッサン初心者にピッタリの石膏像とは?
初心者向けの首像としては、青年マルス、アバタヴィーナス、ブルータス、ラボルトなどが挙げられます。これらは表情や皺が細かく刻まれていないため、おおらかに捉えることができます。胸像の中で描きやすいものとしては、アマゾンやマルスなど動きが少なめのものが適しています。
ベレニケ石膏像は巻き毛という複雑なディテールを持つため、ある程度デッサンの基礎を身につけてから挑戦するのが望ましいでしょう。石膏デッサンの基本は「面取り像」「首像」「胸像」「半身像」の順に段階的に学ぶことで、着実に技術を向上させることができます。
参考)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000450.000084584.html
石膏像は真っ白なので細かいグラデーションを要求され、面で捉えやすく、細かすぎるディテールがないため塊で捉える練習ができるという利点があります。また、人物画と違って動かないので形の把握がしやすく、人物の理想的な形として骨格などが分かりやすいという特徴もあります。
ベレニケ石膏像(パジャント胸像)は、デッサン用モチーフとしてだけでなく、インテリアや装飾品としても人気があります。市場価格は状態や大きさによって異なりますが、一般的に2万円台から入手可能です。
参考)https://hustleboxing.com/products/2210436
標準的なベレニケ石膏像の寸法は、高さ約80cm前後、奥行き約34cm、幅約56cm程度が一般的です。素材は石膏であるため、取り扱いには注意が必要で、欠けや小キズ、経年による黄ばみが見られる場合もあります。台座部分が割れて修復されているものもあり、むしろそれがアンティークとしての味わいを醸し出すこともあります。
参考)Tchetche Hotel href="https://tchetchehotel.com/?r=782346" target="_blank">https://tchetchehotel.com/?r=782346amp;#8211; Heart O…
インテリアとして配置する際は、石膏像の白さが際立つよう照明を工夫すると効果的です。古代ギリシャ・ローマ・エジプト彫刻に興味がある方にとって、ベレニケ石膏像は美しい古代彫刻世界を身近に感じられるアイテムとなります。
参考)https://ameblo.jp/sekkouya/entry-12006114086.html
購入を検討する場合は、サイズが大きいため配送方法や設置場所を事前に確認することが重要です。沖縄県・離島・その他一部地域・山間部では配送に制限がある場合があるため、購入前に商品詳細を確認することをお勧めします。石膏像は長年使用できる美術教材であり、創業75年の石膏像工房のような専門店では伝統の石膏像製造技術を継承しながら新しい技術革新にも取り組んでいます。
参考)https://sekkouzou.com/?pid=22272683
日本で唯一の石膏像専門店「堀石膏制作」のベレニケ胸像詳細ページ
ベレニケ2世とかみのけ座の神話について詳しく解説した美術史ブログ
石膏デッサンの基本的ッサンの基本的な描き方とコツを解説した専門サイト

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