『Re:ゼロから始める異世界生活』に登場する魔女教大罪司教「強欲」担当のレグルス・コルニアスは、声優・石田彰が演じています。石田彰は1967年11月2日生まれ、愛知県出身のベテラン声優で、「石田ボイス」と呼ばれる独特な声質が特徴です。ミステリアスな役やクセの強い役を演じることが多く、少年から青年まで幅広い年齢層のキャラクターを表現できる実力派として知られています。
石田彰の代表作には、『新世紀エヴァンゲリオン』の渚カヲル、『機動戦士ガンダムSEED』のアスラン・ザラ、『銀魂』の桂小太郎などがあります。これらのキャラクターに共通するのは、行動原理が明確でありながら、どこかミステリアスな雰囲気を持っている点です。レグルスも同様に、「強欲」という明確な罪を体現しながら、自己中心的で理解しがたい価値観を持つキャラクターとして描かれています。
石田彰の演技力の高さは、『鬼滅の刃』の猗窩座役でも証明されています。鬼としての猗窩座と人間だった頃の狛治を、まるで別人が演じているかのように完璧に描き分け、「声優が変わった」と錯覚するファンもいるほどでした。レグルスにおいても、自称「無欲な平和主義者」でありながら極めて利己的という矛盾したキャラクター性を、石田彰の声が見事に表現しています。
レグルス・コルニアスは魔女教大罪司教の中でも最古参であり、100年以上前から存在している人物です。彼の年齢は400歳以上とされ、身長は173cmの華奢な体格で白髪の好青年風の外見をしていますが、その内面は承認欲求と自己顕示欲の塊という歪んだ性格です。
レグルスの持つ権能は「獅子の心臓」と「小さな王」という二つの能力で構成されています。「獅子の心臓」は、自身の心臓の活動を停止させることで対象の時間を一時的に凍結する能力です。時間停止中は物理法則を無視し、あらゆる攻撃を無効化することができるため、完全な防御と圧倒的な攻撃力を得ることができます。この能力により、レグルスは作中最強クラスのキャラクターとして君臨しています。
しかし「獅子の心臓」には致命的な弱点があります。心臓を停止させている間、肉体は老化しないものの、能力を使い続けることはできません。そこで補完する能力が「小さな王」です。この能力により、レグルスは擬似心臓を生成し、それを妻と称する女性たちに預けることができます。レグルスは53人もの妻を持ち、彼女たちを所有物のように扱い、その意志や感情を一切考慮しない姿勢は、彼の「強欲」の象徴的な例として描かれています。
レグルス・コルニアスという名前には、天文学的な意味が込められています。レグルスは獅子座のα星であり、ラテン語で「小さな王」を意味する言葉に由来しています。古代ローマではギリシャに倣って「王の星」を意味する「stella regia」と呼ばれ、王や王国の運勢を占う重要な星として扱われていました。
獅子座α星レグルスは、獅子の心臓を指し示す恒星として知られています。この星は1.4等星の青白い星で、一等星の中では最も暗い星とされています。四つの恒星が二星二組で回っている四重連星という特徴を持ち、地球からの距離は79光年です。黄道上にあるため、月や惑星との位置関係で夜空で見つけやすい星でもあります。
リゼロのレグルスの権能「獅子の心臓」は、まさにこの獅子座α星の位置と名前に由来していると考えられます。「小さな王」という名前の意味は、レグルスの権能「小さな王」とも一致しており、作者が天文学的な知識を元にキャラクター設定を行ったことが分かります。また、レグルスが自らを「完結した個」「満たされた存在」と称する傲慢な性格も、「王の星」という高貴な意味を持つ星の名前にふさわしいと言えるでしょう。
無敵の権能を持つレグルスですが、『Re:ゼロから始める異世界生活』の第五章「水門都市プリステラ編」で死亡します。アニメでは2nd seasonの第43話(2期18話)でこのシーンが描かれる予定です。レグルスを倒すためには、二つの権能「獅子の心臓」と「小さな王」の両方を無力化する必要がありました。
スバルたちはまず、レグルスの妻たちの中から「本妻」を見つけ出すという作戦を立てます。エミリアの協力により「小さな王」の能力が無力化されると、レグルスは「獅子の心臓」の弱点をカバーできなくなりました。これにより、時間停止の能力を長時間使用することができなくなり、ついに攻撃が通るようになったのです。
弱体化したレグルスに対し、剣聖ラインハルトが渾身の一撃を放ちます。レグルスは上空高く打ち上げられ、地面に叩きつけられました。それでも彼は「獅子の心臓」を使って生き延びようとしますが、地中深くまで埋没し、穴に流れ込んだ水に飲み込まれて息絶えます。レグルスは最後まで自身の歪んだ価値観を捨てることができず、誰にも理解されないまま、孤独に死んでいきました。この結末は、彼の「強欲」という罪を象徴するものと言えるでしょう。
石田彰が演じるキャラクターには、いくつかの共通点があります。まず、行動原理が明確であるということです。『FAIRY TAIL』のゼレフは不死であるが故に死を追い求め、猗窩座は強さのみを追求するあまり敵である煉獄の強さを賛辞するシーンもあります。何をおいてもひとつのことを追求する行為は、実に純粋だと言える一方で、他人からは狂気的だったり猟奇的な行為として目に映ります。
レグルスもまた、「自分が絶対的な存在であるべき」という歪んだ信念を持っています。彼にとって「強欲」とは、自分が満たされることだけを追求するという行動原理そのものです。レグルスの独特な話し方は「レグルス構文」としてファンの間でネタ化されており、冗長で自己正当化に満ちた特徴的な口調が印象的です。「無欲」「満たされている」などの自称を織り交ぜ、自分が欠点のない完全な個であると力説します。
石田彰はインタビューで、猗窩座について「強さ至上主義で、キャラの立ち位置的には極端なところにいる」「嫌なヤツと思う人もいれば、それを魅力だと感じてくれる人もいる」と話しています。この発言はレグルスにもそのまま当てはまり、石田彰の声が極端な性格のキャラクターに説得力と魅力を与えているのです。コミカルな面とシリアスな面を使い分け、キャラクターの核をぶらさない高い演技力こそが、石田彰がこうした役を任される理由でしょう。
レグルス・コルニアスの名言は、彼の「強欲」という罪の本質を表しています。代表的なセリフに「争いとかさ、嫌なんだよね、僕としては。僕はこう、平々凡々とただただひたすら穏やかで安寧とした日々を享受できればそれで十分、それ以上は望まない」というものがあります。このセリフは彼が自称する「無欲な平和主義者」という一面を表していますが、実際は極めて利己的な考え方の表れです。
もう一つ印象的なのが、「未完結を言い訳にみっともなく足掻き続けるお前たちと、完結した個である僕とじゃお話にならない。他人と比較することでしか、自分の価値を確かめられない愚図どもが。偉そうに僕を評価するんじゃない」という名言です。レグルスは自分を「完結した個」と称し、他者を見下す傾向があります。短気な面もあり、自分が馬鹿にされたと感じると、すぐに相手を殺害しようとする危険な一面も持っています。
「直接、彼女たちを殺すのは僕だ。だけど、その引き金に手をかけているのは君たちなんだ。君たちの殺意が彼女たちを死なせる。それはもう、僕という道具を使った君たちの殺人だ」という名言は、レグルスの責任転嫁の姿勢を表しています。自分の行動の責任を他人に押し付け、常に自分が被害者であるかのように振る舞うこの性格こそが、「強欲」という大罪を体現するものとなっているのです。レグルスの名言を通して、現代社会にも通じる自己中心的な思考の危険性を読み取ることができるでしょう。
TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』公式サイト
リゼロの最新情報やキャラクター紹介、声優情報などが掲載されている公式サイトです。レグルスが登場する第3期の放送情報もこちらで確認できます。
アニメイトタイムズ - 石田彰特集
石田彰の出演作品やプロフィール、最新情報がまとめられています。レグルス以外の代表作も詳しく紹介されており、石田彰の演技の幅広さを知ることができる参考資料です。