アスタロト悪魔の特徴と能力登場物語

地獄の大公爵アスタロトは、ソロモン72柱の序列29番に位置する強力な悪魔です。過去と未来を見通す力を持ち、ドラゴンに跨り毒蛇を手にした天使の姿で現れるとされています。起源は古代の女神にまで遡り、多くの物語や伝承に登場するこの悪魔の正体とは一体何なのでしょうか?

アスタロト悪魔の特徴と能力

この記事でわかること
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アスタロトの基本情報

ソロモン72柱における地位、40軍団を率いる地獄の大公爵としての役割

驚異的な能力

過去と未来を見通す力、学問の知識を授ける特殊な能力

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物語での活躍

失楽園、魔界村など、文学作品やゲームに登場するアスタロトの姿

アスタロトの地位と階級構造

 

アスタロトはソロモン72柱の悪魔の中で序列29番目に位置し、「地獄の大公爵(Grand Duke of Hell)」という高位の称号を持つ強力な存在です。40個の悪霊軍団を指揮する統率者として、地獄の階級制度において重要な役割を担っています。

 

悪魔学の文献によれば、アスタロトはルシファー、ベルゼブブと並んで地獄の三大権力者の一人として扱われることもあり、特にベルゼブブの側近として西方地獄を支配しているとされています。中世の魔法書『赤い竜』では、すでに地獄の三大権力者として記載されていました。

 

元は天界において高位の天使であり、セバスチャン・ミカエリスによれば堕天した座天使に属していたとされ、別の説では最高位の熾天使であったとも伝えられています。この堕天の経緯こそが、アスタロトの持つ独特な性質と能力の源泉となっているのです。

 

Wikipediaのアスタロト記事:悪魔学における基本的な地位と役割について詳しく記載

アスタロトの特殊能力と知識

アスタロトの最も顕著な能力は、過去・現在・未来を見通す預言的な力です。この能力により召喚者に対して膨大な知識を授けることができ、特に天文学、人文学、哲学、科学といった教養学全般に精通しています。グリモワール『ゴエティア』では、質問者のあらゆる問いに応え、学問の知識を教授する存在として記述されています。

 

さらに注目すべき能力として、天使の創造や堕天使がいかにして天界から堕ちたかという秘密についても語ることができるとされています。これは元天使であったアスタロト自身の経験に基づく知識であり、他の悪魔には語れない特別な情報です。

 

また、人を透明にする力や財宝の在り処を明かす能力も持ち、召喚者に実利的な利益をもたらすことができます。カバラ(ユダヤ教の神秘主義思想)の文献では、木星のクリフォト(邪悪・不純な霊的力)を支配する大悪魔として、強大な魔力を持つ存在とされています。

 

WaqWaq:アスタロトの能力と知識について詳細な解説

アスタロトの容姿と召喚時の特徴

アスタロトの容姿は非常に特徴的で、グリモワール『ゴエティア』や『悪魔の偽王国』において詳細に記述されています。召喚される際には、巨大なドラゴンに似た地獄の獣に跨がり、右手には毒蛇を持つ(あるいは右腕に毒蛇を巻きつける)天使の姿で現れるとされています。

 

その容貌は美しい暗黒天使の姿をしており、黒装束に身を包み(文献によっては全裸とも)、血で濡れた唇を持つと描写されます。一見すると荘厳で美しい存在ですが、召喚時には想像を絶する悪臭(毒気)を放つという恐るべき特徴があります。

 

この悪臭は非常に強烈で、召喚者は必ず魔除けの印(リング)を持たなければ耐えることができません。『ゴエティア』によれば、アスタロトに対抗する天使の名はレイアイエル(Reiaiel)とされており、召喚の際にはこの天使の加護を求めることが推奨されています。

 

東風図書:アスタロトの容姿と召喚方法について詳細な記載

アスタロトの起源と女神との関係

アスタロトの起源を辿ると、意外にも古代オリエントの女神に行き着きます。その名前の由来は、古代フェニキアの女神「アシュタロテ(Astarte)」あるいはバビロニア神話の女神「イシュタル」に遡るとされています。これらの女神は「豊穣」「性愛」を司る普遍的な女神として広く崇拝されていました。

 

イシュタルはギリシャ神話のアフロディーテや、ローマ神話のヴィーナスなど、周辺地域のあらゆる美の女神の原形となった重要な女神です。エジプトでは戦の女神アスタレトとも同一視されており、地中海世界全体で信仰されていた神格でした。

 

このような女神がなぜ悪魔へと変容したのか。それはユダヤ・キリスト教が他宗教の神々を悪魔として貶める過程で生じた変化です。旧約聖書では異教の神々を「偽りの神」として否定しており、かつて崇拝された女神が悪魔学の体系の中で男性の姿をした悪魔アスタロトへと生まれ変わったのです。この神格から悪魔への転落は、宗教史における興味深い事例といえるでしょう。

 

Re:Fantasy:アスタロトの起源となった古代女神について詳しい考察

アスタロトが登場する物語と作品

アスタロトは多くの文学作品、ゲーム、アニメなどに登場する人気の高い悪魔です。文学作品では、ジョン・ミルトンの『失楽園』(1667年)において地獄の高位の悪魔として登場し、堕天使の一員として描かれています。同作品では「アストレト(Astoreth)」の名でも言及され、フェニキア人が天の女王として崇拝したアスタルテとの関連性が示されています。

 

クリストファー・マーロウの戯曲『フォースタス博士』では、悪魔召喚の儀式に関わる存在として言及されており、ルネサンス期の魔術文化におけるアスタロトの重要性を示しています。13世紀の聖人伝説集『黄金伝説』では、インドの神殿に祀られていた異教の偶像神として登場し、使徒バルトロマイによって沈黙させられるエピソードが記されています。

 

ゲーム作品では、カプコンの『魔界村』シリーズにおいて主人公アーサーの宿敵として登場します。初代作品ではラスボスとして(当初の名前は「ゴンディアス」でしたが後に「アスタロト」に変更)、続編の『大魔界村』以降も重要なボスキャラクターとして活躍しています。その他、多くのRPGやファンタジー作品において強力な悪魔や魔王として描かれ、現代のポップカルチャーにおいても影響力を持ち続けています。

 

Wikipedia魔界村記事:アスタロトがラスボスとして登場するゲームシリーズについて

アスタロトの性格と行動パターン

悪魔学の文献によれば、アスタロトの性格は「怠惰」を好むとされています。自身が怠惰であるだけでなく、人間に対してもそれを吹き込み、怠惰な生活をするように働きかける傾向があります。これは七つの大罪における「怠惰」の悪魔としての側面を示しています。

 

一方で、アスタロトは学問を修める人間に対してはそれなりの敬意を持って接するという特徴があります。知識を重んじる性質は、天使時代の名残とも考えられ、真摯に学問を追求する召喚者には協力的な態度を示すとされています。

 

しかし、その本質は冷酷非情な悪魔であり、苦痛や疫病について楽しげに語り、人間が苦しむ様を嘲る残虐な一面も持ち合わせています。アグリッパによると、アスタロトはギリシア語でディアボロス(中傷者)と呼ばれ、ヨハネ黙示録に出てくる「我々の兄弟たちを告発する者」と同一視されることからも、その告発者・中傷者としての性質が窺えます。この二面性こそが、アスタロトという悪魔の複雑な個性を形作っているのです。

 

 


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