ロタネブという星の由来といるか座の見つけ方、夏の大三角の関係

夏の夜空に輝くいるか座のβ星、ロタネブ。このユニークな名前の由来や、関連する神話、そして夏の大三角を使った見つけ方をご存知ですか?この記事を読めば、きっとあなたも夜空を見上げてロタネブを探したくなるはず。ロタネブに秘められた物語を一緒に紐解いてみませんか?

ロタネブという星の物語

この記事のポイント
名前の秘密

ロタネブのユニークな名前は、実はある天文学者の名前を逆さ読みにしたものだった!

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見つけ方のコツ

「夏の大三角」を手がかりにすれば、都会の夜空でも簡単に見つけられます。

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感動の神話

ロタネブが属するいるか座には、音楽家を救った心優しいイルカの物語が伝わっています。

ロタネブはいるか座のβ星!その明るさと位置

夏の夜空、天の川の近くに、小さくまとまった可愛らしい星座「いるか座」があるのをご存知でしょうか。その中で最も明るく輝く星が、今回ご紹介する「ロタネブ」です 。
ロタネブは、いるか座のβ(ベータ)星にあたる恒星で、私たちの目には3.63等の明るさで見えます 。都会の明るい夜空では少し見つけにくいかもしれませんが、星空の綺麗な場所へ行けば、その姿をはっきりと捉えることができるでしょう。地球からの距離は約97光年と、宇宙のスケールで言えば比較的ご近所の星と言えるかもしれません 。「いるか座」は、4つの星が作るひし形が特徴的で、古代ギリシャの詩人アラートスはこれを「4個の珠玉」と称えました 。ロタネブは、このひし形の一部を構成しており、まるでイルカの体がジャンプしているかのような美しい星座の一員です。
星座早見盤や星空アプリを使うと、わし座のアルタイルの少し北東に、この可愛らしいひし形を見つけることができます 。ロタネブは白っぽい色の星で、夏の夜空に涼しげな光を届けてくれます 。ぜひ、夏のキャンプや天体観測の機会に、この「いるか座の宝石」を探してみてください。

ロタネブの面白い由来!天文学者の名前を逆から読む?

星の名前には、ギリシャ神話やアラビア語に由来するものが多く存在します 。しかし、ロタネブの名前の由来は、それらとは一線を画す非常にユニークで遊び心に満ちたものです。
この名前が初めて登場したのは、1814年にイタリアのパレルモ天文台長であったジュゼッペ・ピアッツィが出版した星表でした 。しかし、その由来は長らく謎とされ、多くの天文学者たちの頭を悩ませてきました 。
この謎が解明されたのは、命名から45年も経った1859年のこと。イギリスの天文学者トーマス・ウィリアム・ウェッブ牧師が、驚くべき事実に気づいたのです 。
なんと、「Rotanev(ロタネブ)」という名前は、ピアッツィの有能な助手であったニコロ・カッチャトーレのラテン語名「Nicolaus Venator」の「Venator」の部分を逆から綴ったものだったのです 。
さらに、いるか座のα(アルファ)星である「スアロキン(Sualocin)」も同様に、「Nicolaus」を逆から読んだものであることが判明しました 。つまり、ピアッツィは、自らの片腕として活躍した助手の名前を、夜空の星に刻むという粋な計らいをしたのです。これは、師弟の深い絆を感じさせる、天文学史上に残る微笑ましいエピソードと言えるでしょう。
いるか座のα星とβ星の名前の由来については、以下のリンクで詳しく解説されています。

 

いるか座 - 由来と歴史 - Wikipedia

ロタネブの見つけ方!夏の大三角といるか座を探そう

「ロタネブを見てみたいけど、どうやって探せばいいの?」と感じる方も多いでしょう。ご安心ください。夏の夜空の目印を使えば、意外と簡単に見つけることができます。
その最大のヒントとなるのが、夏の夜空の主役「夏の大三角」です 。夏の大三角は、以下の3つの明るい1等星で構成されています。

  • ⚪️ こと座の「ベガ」:七夕の「おりひめ星」としても有名。青白く輝く最も明るい星です。
  • 🦅 わし座の「アルタイル」:七夕の「ひこ星」。ベガ、デネブに次いで明るい星です。
  • 🦢 はくちょう座の「デネブ」:白鳥の尾の位置で輝く星です。

まず、夜空を見上げてこの3つの星を見つけましょう 。7月の夜9時頃なら東の空、8月から9月にかけては頭の真上近くで輝いています 。
夏の大三角を見つけたら、次はアルタイルに注目してください。アルタイルの少し北東(左上あたり)に目を向けると、小さなひし形に並んだ4つの星が見つかるはずです。それこそが、いるか座の目印 。そして、そのひし形の中で最も明るく輝いているのがロタネブです 。いるか座は小さな星座ですが、星がキュッと集まっているので、一度見つけると「ああ、あれがイルカか!」とすぐにわかるようになります。まるで夜空の海をジャンプしているかのような、その愛らしい姿をぜひ探してみてください。
夏の大三角の見つけ方については、こちらのサイトが参考になります。

 

夏の大三角を見つけよう - 佐賀市星空学習館

ロタネブが属するいるか座の神話!イルカが星座になった物語

ロタネブが輝くいるか座には、心温まる美しい神話がいくつか伝えられています。その中でも特に有名なのが、古代ギリシャの音楽家アリオンを救ったイルカの物語です 。
アリオンは、竪琴(たてごと)の名手として知られ、その音色は聴く人すべてを魅了するほどでした 。ある時、シチリア島で開かれた音楽コンクールで見事優勝したアリオンは、たくさんの賞金や宝物を持って故郷への帰路につきます 。
しかし、その船の船乗りたちはアリオンの財宝に目がくらみ、海賊に豹変してしまいます。アリオンに剣を突きつけ、財宝を奪い、海に身を投げるよう命じたのです 。死を覚悟したアリオンは、最期に一曲だけ演奏させてほしいと懇願します。船乗りたちがそれを認めると、アリオンは魂を込めて竪琴を奏でました。
すると、その美しい調べに誘われて、船の周りにたくさんのイルカが集まってきました。演奏を終えたアリオンが海に身を投げ出すと、なんとイルカたちが彼を助け、背中に乗せて岸まで送り届けてくれたのです。この心優しいイルカの行いを称え、神々が夜空の星座にしたのが、このいるか座だと言われています 。
また、別の神話では、海の神ポセイドンが、海の女神アンフィトリテに求婚した際、恥ずかしがって逃げてしまった彼女の居場所をイルカが探し出し、二人の結婚を取り持った功績で星座になった、という話も伝えられています 。どちらの神話も、イルカが古くから賢く心優しい生き物として人々に愛されてきたことを物語っていますね。

ロタネブは実は連星!知られざる星の素顔

夜空に一つの点として輝くロタネブですが、実はその光は一つの星によるものではありません。ロタネブは、2つの星がお互いの周りを回りあう「連星」なのです 。これは、検索上位の記事でもあまり触れられていない、ロタネブの意外な素顔と言えるでしょう。
主星であるA星は、太陽よりも少し進化した「準巨星」というタイプの星です。一方、その周りを回る伴星Bは、太陽と同じように自ら核融合で輝く「主系列星」です 。この2つの星は、およそ26.7年という周期で、共通の重心の周りを公転しています 。
私たちの目には、この2つの星の光が重なって一つの星に見えています。なぜなら、2つの星は非常に近接しており、また地球から約97光年という遠い距離にあるため、肉眼で分離して見ることはできないからです。高性能な天体望遠鏡を使えば、ようやく2つの星として観測できるかもしれません。
このように、夜空の星々の中には、一見すると一つの星に見えても、実際には複数の星が集まっている「多重星」や「連星」がたくさん存在します 。ロタネブもその一つであり、その事実を知ると、夜空の小さな光の点が、より一層神秘的で興味深い存在に感じられませんか?普段何気なく見上げている星空には、まだまだ私たちの知らない秘密がたくさん隠されているのです。