放射点と流星群の観察、三大流星群の仕組みと見方

放射点から降り注ぐ流星群。その正体は彗星の落とし物です。三大流星群を中心に、観察のコツや珍しい静止流星まで解説します。一生に一度は見たい、感動の天体ショーを120%楽しむ準備はできていますか?

放射点と流星群の仕組み

放射点と流星群の楽しみ方
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仕組みを知る

流れ星が一点から見える「放射点」の謎と、彗星との関係を解説します。

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観察と撮影のコツ

初心者でも安心!流星群を最大限に楽しむための具体的な方法と、スマホでの撮影テクニックを紹介します。

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三大流星群と静止流星

年間のハイライトである三大流星群の特徴や、遭遇できたらラッキーな「静止流星」の不思議に迫ります。

放射点から流星群が見える仕組みと母天体の関係

夜空を眺めていると、まるで空のある一点から流れ星が四方八方に飛び出してくるように見えることがあります 。この流れ星が飛び出す中心となる見かけの点を「放射点(または輻射点)」と呼びます 。そして、この放射点を持つ流れ星の集まりが「流星群」です 。流星群の名前は、一般的に放射点がある星座の名前が付けられます 。例えば、ペルセウス座流星群ならペルセウス座の近くに、ふたご座流星群ならふたご座の近くに放射点があります 。
では、なぜ一点から放射状に流れるように見えるのでしょうか。これは、流れ星の正体である「流星物質」と呼ばれる宇宙の塵の粒が、地球の大気に平行に突入してくるために起こる現象です 。高速道路で雪や雨が降っているときに、車の進行方向の一点からこちらに向かってくるように見えるのと同じ原理です 。つまり、地球から見上げると、遠近法の効果で一点から四方八方に広がるように見えるのです 。
この流星物質を宇宙空間に放出するのが「母天体」と呼ばれる天体です 。母天体の多くは彗星(ほうき星)で、太陽に近づくたびに塵やガスを放出し、その軌道上に「ダスト・トレイル」と呼ばれる塵の帯を形成します 。地球が公転の過程でこのダスト・トレイルに突入すると、そこに含まれる無数の塵が地球の大気に高速で飛び込み、大気との摩擦で高温になって光を放ちます。これが流星群の正体です 。毎年同じ時期に同じ流星群が見られるのは、地球が毎年同じ時期にそのダスト・トレイルを通過するためです 。
ほとんどの流星群は彗星を母天体としていますが、例外もあります 。例えば、三大流星群の一つである「ふたご座流星群」の母天体は、彗星ではなく「ファエトン」という小惑星です 。ファエトンは、過去には彗星として活動していた可能性や、小惑星同士の衝突で塵が放出された可能性などが考えられており、流星群の起源の多様性を示唆しています 。
流星群の基本的な仕組みについて、国立天文台のウェブサイトで詳しく解説されています。

 

https://www.nao.ac.jp/astro/basic/meteor-shower.html

放射点を知って流星群を100倍楽しむ観察のコツ

流星群の観察を成功させる鍵は、放射点の位置を把握しつつも、そこばかりにこだわらないことです 。放射点の近くを流れる流れ星は、観察者に向かってくるように見えるため経路が短く、逆に放射点から離れた場所を流れる流れ星ほど、長く壮大な軌跡を描きます 。視野を広く保ち、空全体をぼんやりと眺めるのが、より多くの流れ星を捉えるコツです 。
🌠 観察に最適な場所と時間

  • 場所: 街灯などの人工的な明かりが少なく、空が広く見渡せる暗い場所が最適です 。公園や河川敷、郊外の開けた場所などがおすすめです 。
  • 時間: 月明かりの影響が少ない夜を選びましょう 。また、多くの流星群は放射点が空高く昇ってくる深夜から明け方にかけて出現数が増える傾向があります 。活動のピーク(極大)時刻を事前に調べておくことも重要です 。
  • 方角: 特定の方角にこだわる必要はありませんが、放射点のある方角を中心に空全体を見渡すと良いでしょう 。

🔭 準備と観察の姿勢

  • 服装と持ち物: 夏でも夜は冷え込むことがあるため、暖かい服装を準備しましょう 。レジャーシートや寝袋、リクライニングチェアなどを用意して、寝転がった姿勢で観察すると、首が疲れずリラックスできます 。温かい飲み物もあると快適です 。
  • 目を慣らす: 暗い場所に目が慣れるまでには、最低でも15分ほどかかります 。観察を始めたらしばらくはスマートフォンなどの明るい画面を見ないようにしましょう 。
  • 観察時間: 流れ星はすぐに現れるとは限りません 。最低でも30分から1時間は粘り強く夜空を眺め続けることが大切です 。
  • 道具: 流星群の観察に望遠鏡や双眼鏡は基本的に不要です 。肉眼で広範囲を眺めるのが最も効率的です 。ただし、双眼鏡で放射点の近くを観察すると、通常は見えないような暗い流星や、光の筋が短い流星を捉えられることがあります 。

放射点と流星群の撮影方法!スマホでも撮れる?

流れ星の撮影は難しそうに思えますが、いくつかのポイントを押さえればデジタルカメラやスマートフォンでも十分に可能です。ここでは、その基本的な方法を紹介します。
📸 デジタルカメラでの撮影方法
【必要な機材】

  • カメラ: マニュアル(手動)で露出設定ができるデジタル一眼カメラやミラーレス一眼カメラが理想的です 。
  • レンズ: なるべく明るい(F値が小さい)広角レンズがおすすめです 。より広い範囲を写せるため、流れ星が画角に入る確率が高まります。
  • 三脚: シャッタースピードを長くするため、カメラを固定する三脚は必須です 。
  • レリーズ: シャッターを押す際のブレを防ぐために、ケーブルレリーズやリモートコントローラーがあると非常に便利です 。ない場合は、カメラのセルフタイマー機能で代用できます。
  • レンズヒーター: 夜間の撮影ではレンズが結露で曇ってしまうことがあります 。レンズヒーターがあると長時間の撮影でも安心です。

【カメラの基本設定】

  1. ピント合わせ: AF(オートフォーカス)をMF(マニュアルフォーカス)に切り替えます 。ライブビュー機能で画面を拡大し、一番明るい星が点像になるようにピントリングを慎重に回して合わせます 。
  2. 撮影モード: マニュアル露出モード(M)に設定します 。
  3. F値(絞り): レンズの最も明るいF値(開放F値)に設定します 。
  4. シャッタースピード: 15秒~30秒程度で設定します 。これ以上長くすると、星が地球の自転によって線のように写ってしまいます(星を点像で写したい場合は、赤道儀という追尾装置が必要になります )。
  5. ISO感度: ISO1600~3200から試してみましょう 。撮影した画像を確認し、空の明るさに応じて調整します。
  6. ホワイトバランス: 「オート」ではなく「太陽光」や「昼光色蛍光灯」、またはケルビン値を指定できる場合は4000K前後に設定すると、夜空が自然な色合いに仕上がります 。

設定が完了したら、放射点を構図に入れつつ、レリーズの連写機能を使ってひたすら撮影を続けます 。いつ流れるかわからない流れ星を捉えるには、とにかくたくさん撮ることが成功への近道です。
📱 スマートフォンでの撮影
最近のスマートフォンは高性能で、星空モードや夜景モードが搭載されている機種も増えています 。

  • マニュアル設定ができるカメラアプリを使用し、ISO感度やシャッタースピードを上記のデジタルカメラの設定を参考に調整します 。
  • スマートフォン用の三脚でしっかりと固定することが重要です。
  • 動画で撮影し、後から流れ星が写っているフレームを切り出すという方法もあります 。

【三大流星群】ペルセウス座・ふたご座・しぶんぎ座流星群の特徴

年間を通じて多くの流星群が出現しますが、その中でも特に毎年安定して多くの流れ星が見られる「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」は「三大流星群」と呼ばれ、天体観測のハイライトとなっています 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流星群 活動時期 極大期 母天体 特徴
しぶんぎ座流星群 12月28日~1月12日頃 1月4日頃 小惑星 2003 EH1 三大流星群のトップバッター 。活動のピークが数時間と非常に短いのが特徴で、タイミングが合うと1時間に数十個の流星が見られることがあります 。鋭く明るい流星が多いですが、観測時期が真冬のため、万全の防寒対策が必要です。
ペルセウス座流星群 7月17日~8月24日頃 8月13日頃 スイフト・タットル彗星 お盆の時期と重なり、夏休み中のイベントとしても人気が高い流星群です 。比較的長期間にわたって活動し、明るく痕(こん)と呼ばれる煙のような跡を残す流星が多いのが特徴です 。多いときには1時間に40個以上の流星が観測されることもあります 。
ふたご座流星群 12月4日~12月17日頃 12月14日頃 小惑星 ファエトン 毎年安定して最も多くの流星が出現することで知られ、一晩中コンスタントに流れ続けます 。極大期には1時間に40個以上、条件が良ければそれ以上の流星が見られることもあります。他の流星群に比べて流れる速度がゆっくりとしており、観測しやすいのが魅力です。母天体が彗星ではなく小惑星である珍しい流星群です 。

これらの流星群の放射点の位置やその年の月の満ち欠けなどの観測条件は、事前に国立天文台などのウェブサイトで確認しておくとよいでしょう 。

【独自視点】放射点直下で見える「静止流星」とは?音も聞こえる?

🤫 流れ星といえば、尾を引いて「シューッ」と流れる姿を想像しますが、ごく稀に、全く動かず「パッ」と光って消えるだけの流れ星が見られることがあります 。これが「静止流星(または停止流星)」と呼ばれる、非常に珍しい現象です 。
静止流星は、流星物質が観察者の視線方向とほぼまっすぐ重なり、こちらに真正面から向かってくるときに見られます 。そのため、横に移動する動きが見えず、まるで星が一つ、その場で生まれて消えたかのように見えるのです 。この現象は、流星群の放射点のまさに中心付近でしか起こり得ないため、静止流星を観測できたなら、それはその流星群の流れ星である可能性が極めて高いと言えます 。もし静止流星を見ることができたら、それはとても幸運なことです。
さらに不思議なことに、明るい火球(特に明るい流れ星)が流れたのと同時に、「シュー」「パチパチ」といった音が聞こえた、という報告が昔から数多く存在します。光は一瞬で地上に届きますが、音が伝わるには時間がかかるため、これは長い間、心理的なものだと考えられてきました。しかし、近年の研究で「エレクトロフォニック音響」という現象の可能性が指摘されています 。
これは、火球が通過する際に発生する非常に強いプラズマが、地球の磁力線を乱すことで極超長波(VLF)という電磁波を発生させ、その電磁波が光の速さで地上に到達し、観察者の周囲にある物体(髪の毛、眼鏡、枯れ葉など)を振動させて音を発生させるという理論です 。つまり、聞こえているのは火球本体の音ではなく、電磁波によって身の回りの物が鳴っている音なのです。もしあなたが非常に明るい流れ星を見て、同時に奇妙な音を聞いたなら、それは気のせいではなく、極めて稀な物理現象を体験しているのかもしれません。
静止流星や流星に伴う音の現象は、流星観測の奥深さを示す興味深いトピックです。Wikiwandには静止流星に関する簡潔な説明があります。

 

https://www.wikiwand.com/ja/%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%82%B9