デブリ医療算定の基礎知識と保険請求ポイント

デブリードマンの診療報酬算定は、創傷処理や褥瘡処置との違いを理解し、適切な保険請求を行うことが重要です。創傷の種類、深さ、実施する処置内容によって算定方法は変わりますが、正しく理解していますか?

デブリ医療算定の基礎知識

📋 デブリ医療算定の重要ポイント
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創傷処理とデブリードマン加算

汚染された挫創に対する初回処置に100点加算が可能

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独立したデブリードマン手術

植皮術前提の重症例に対して実施する外科的処置

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深部デブリードマン加算

骨・腱・筋肉露出時に当初1回のみ1,000点追加算定

デブリードマンの創傷処理における算定要件

 

デブリードマン加算は、創傷処理(K000)に対して当初の1回に限り100点を加算できる制度です。算定要件として、汚染された挫創に対するブラッシングまたは汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを実施した場合に限定されています。重要なポイントは、傷病名に「挫創」が記載されていることと、処置が麻酔を必要とするレベルの痛みを伴うものである点です。

 

参考)【医療介護あれこれ】褥瘡処置でデブリ—ドマンは算定可能か?(…

創傷処理とは、切創・刺創・割創または挫創に対して切除、結紮または縫合を行う場合に算定する手術項目です。デブリードマン加算を算定する際には、単なる観察や軽微な処置ではなく、実際に壊死組織や汚染物質の除去を伴う外科的処置が必要となります。褥瘡の場合は挫創ではないため、創傷処理+デブリードマン加算の組み合わせは原則として認められません。

 

参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_10_1_1_1%2Fk000.html

創傷の深さや長さによって算定点数が異なり、筋肉や臓器に達しない浅い創傷では530~1,480点、筋肉・臓器に達する深い創傷では1,400~3,090点が設定されています。真皮縫合を伴う縫合閉鎖を行った場合は、露出部の創傷に限り460点が所定点数に加算されます。

 

参考)K000 創傷処理

デブリ独立手術と保険点数の算定基準

独立したデブリードマン手術(K002)は、K013分層植皮術からK021-2粘膜弁手術までの手術を前提に行う場合にのみ算定できる手術項目です。創傷処理に付随するデブリードマン加算とは異なり、独立したデブリードマンは植皮前提であるくらいの重症例が対象となります。熱傷により全身の20%以上に植皮を行う場合、またはA群溶連菌感染症に伴う壊死性筋膜炎の場合においては、5回に限り算定が認められています。

 

参考)https://clinicalsup.jp/jpoc/shinryou.aspx?file=ika_2_10_1_1_1%2Fk002.html

水圧式デブリードマンを実施した場合は、一連の治療につき1回に限り2,500点を所定点数に加算できます。同様に、超音波式デブリードマンを実施した場合も、一連の治療につき1回に限り2,500点の加算が可能です。超音波デブリードマン装置は、キャビテーション効果とチップの機械的振動により、健常組織を温存しながら選択的に壊死組織および細菌を除去できる特徴があります。

 

参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000894873.pdf

繰り返し算定する場合は、植皮の範囲(全身に占める割合)を診療報酬明細書の摘要欄に記載する必要があります。診療報酬の請求に当たっては、病歴、細菌培養検査及び画像所見を診療報酬明細書の摘要欄に記載することが求められます。

褥瘡処置とデブリ算定の関係性

褥瘡処置においては、重度褥瘡処置と創傷処置を適切に使い分けることが重要です。重度褥瘡処置を算定する場合は、J000創傷処置、J001-7爪甲除去(麻酔を要しないもの)及びJ001-8穿刺排膿後薬液注入は併せて算定できません。褥瘡は体の向きを変えないことにより圧力がかかり続けることで生じるものであり、挫創とは発生機序が異なります。

 

参考)【医療介護あれこれ】重度褥瘡処置の査定(QAより)

臀部の褥瘡に対して温水洗浄、ポケット内部掻爬、壊死部分カット、軟膏塗布を行う場合、創傷処理+デブリードマン加算ではなく重度褥瘡処置で算定するのが適切です。褥瘡の深さはDESIGN分類で評価され、d2(真皮までの損傷)からd5(関節腔・体腔にいたる損傷)まで段階があり、深さに応じた適切な処置方法を選択する必要があります。

 

参考)https://tch.or.jp/asset/00032/renkei/CCseminar/20150223jokuso.pdf

褥瘡処置においても外科的デブリードマンが必要な場合がありますが、その際は状況によりメス、電気メス、剪刃、セッシ、鋭匙などを用いて基本的には出血する層まで行います。四肢末梢の褥瘡では末梢動脈疾患の並存も多いため、安易にデブリードマンを行わないよう注意が必要です。

深部デブリードマン加算の実施条件

深部デブリードマン加算は、骨、腱または筋肉の露出を伴う損傷に対して、当初の1回に限り1,000点を所定点数に加算できる制度です。この加算は創傷処理に付随するデブリードマン加算の要件を満たす場合についても、繰り返し算定する際に要件を満たせば算定可能です。深部デブリードマン加算の対象となるのは、褥瘡が深部にまで進行しており、骨や腱があらわになるような重症の状態です。

 

参考)デブリードマンと医療保険 処置と算定は

通常のデブリードマン加算100点が汚染組織の切除等を対象とするのに対し、深部デブリードマン加算1,000点は骨・腱・筋肉などの深部組織が露出している状態での処置を対象としています。算定に際しては、創傷の深さを正確に評価し、診療録に骨、腱、筋肉の露出状態を明確に記載することが査定を避けるために重要です。

深部組織損傷(Deep Tissue Injury:DTI)は、Ⅰ度の褥瘡の中で皮下組織より深部の損傷が疑われる特殊な褥瘡であり、外見以上に深部の損傷が進行している可能性があります。このような症例では、適切な評価に基づいて深部デブリードマン加算の適用を検討する必要があります。

デブリ医療における査定回避のポイント

デブリードマン加算の査定を回避するためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず、対象手術以外への加算を避けることです。デブリードマン加算は創傷処理に対する加算であり、皮膚切開術など他の術式に対して算定すると査定対象となります。また、傷病名に「挫創」の記載がない場合や、局所麻酔薬の使用記録がない場合も査定の原因となります。

 

参考)レセプトでデブリードマン加算の算定が査定になる理由 href="https://koazarashi.com/2019/11/28/post-6297/" target="_blank">https://koazarashi.com/2019/11/28/post-6297/amp;#82…

感染した挫滅創であれば、2回目でも創傷処理に対してデブリードマン加算の算定が可能です。ただし、「汚染された挫創に対して行われるブラッシング又は汚染組織の切除等であって、通常麻酔下で行われる程度のものを行った場合」という要件を満たす必要があります。月1~2回の算定が認められますが、創傷処理算定後は創傷処置にて算定する必要があります。

 

参考)http://www.yamaguchi.med.or.jp/images/medical/blue-page/2010.pdf

診療報酬明細書(レセプト)の記載も重要で、病歴、細菌培養検査結果、画像所見などを摘要欄に詳細に記載することで、処置の必要性と妥当性を明確に示すことができます。処置内容を見学し、実際にどのような処置が行われているかを把握することで、適切な算定判断が可能になります。糖尿病性潰瘍など褥瘡以外の創傷に対してデブリードマンを実施する場合も、創傷の性質と処置内容を正確に記録し、適切な手術コードを選択することが求められます。

 

参考)301 Moved Permanently

医療介護あれこれ - 褥瘡処置でデブリ―ドマンは算定可能か
褥瘡と挫創の違い、デブリードマン加算の算定要件について詳しく解説されています。

 

K002 デブリードマン - 診療報酬点数
デブリードマンの診療報酬点数と算定条件の公式な情報が掲載されています。

 

 


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