バティンは『ゴエティア』において序列18番に位置する地獄の大公爵(Duke)として記録されています。その姿は蛇の尾を持つ屈強な男性で、青ざめた馬、あるいは青い馬にまたがって現れるとされます。肌の色は死体のような蒼白い色であるという記述もあり、その異様な外見は見る者に強烈な印象を与えます。地獄では30の悪魔軍団を指揮する公爵とされていますが、『エノク書』では地獄の大公の一人とも記されており、その地位には複数の解釈が存在します。
参考)ソロモン72柱の悪魔バティンWITH柴犬:瞬間移動できるチー…
バティンという名前にはいくつかの異名が存在し、バティム(Bathym)、マルティム(Marthim)、マティムとも呼ばれることがあります。この名前の多様性は、悪魔学において同一の存在が地域や時代によって異なる呼称で伝承されてきたことを示しています。興味深いことに、バティンはルシファーの側近と考えられており、悪魔の階層においても重要な位置を占める存在です。
参考)https://izfact.net/solomon/18_bathin.html
バティンの最も顕著な能力は、人を瞬時に遠方へ移動させる瞬間移動の力です。召喚者を一瞬で異なる土地へ飛ばすことができるこの能力は、物理的な距離の制約を超越する強力なものとされています。実体化に成功すれば文字通り瞬間移動の恩恵を受けられますが、誤って召喚者を魔界へ飛ばしてしまう危険性もあると警告されています。
参考)【悪魔】バティンとは?
この能力は旅の補助という形でも発揮され、バティンのタリスマンなどを所持している場合、目的地に時間に遅れることなく到着できるとされます。電車の乗り換えがスムーズにいったり、思わぬ幸運で乗り物が現れたりするなど、日常的な移動においても恩恵があると考えられています。また、自らの俊敏さを生かして召喚者が望む場所へ連れていくことも可能で、通常では到達困難な場所へ行くチャンスも巡ってくると言われています。
瞬間移動能力と並んでバティンを特徴づけるのが、薬草と宝石の効能に関する深い知識です。召喚者に対して薬草学や宝石に関する知識を授けることができ、その専門性は非常に高いとされています。特にガーデニングでよく栽培されるタイムやパセリなどのハーブの効果を高めることができるという具体的な記述もあり、実用的な知識を提供する悪魔として知られています。
参考)みんなのレビュー:ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。 7巻/著者…
この知識は単なる学術的なものではなく、実際の治療や魔術的な用途に応用可能なものです。薬草の効能を理解することで、病気の治療や毒の調合、魔法の儀式における材料の選択など、多岐にわたる分野で活用できます。宝石に関する知識も同様で、各宝石が持つとされる神秘的な力や、それらを使った護符の作成方法なども教授されると考えられています。
悪魔の中でも珍しい特徴として、バティンは愛想が非常に良いことで知られています。多くの悪魔が召喚者に対して反抗的であったり、嘘をついたりする傾向があるのに対し、バティンは比較的協力的な態度を取るとされています。この友好的な性格は、召喚術師にとって扱いやすい悪魔であることを意味し、安全に契約を結びやすい存在として評価されています。
ただし、どのような悪魔であっても油断は禁物です。召喚の際には適切な魔法陣や護符を用いることが推奨されており、特に左手の中指に銀の指輪をはめるなどの防護措置が必要な場合があります。バティンの場合、その温和な性格ゆえに比較的安全とされていますが、悪魔という本質を忘れてはいけません。
現代では、バティンは様々なゲームやアニメ、マンガなどのエンターテインメント作品に登場しています。最も顕著な例が、スマートフォンゲーム『メギド72』です。このゲームでは、バティンはメギドの一人として登場し、リジェネレイトしたバージョンも実装されています。バレンタインの時期に登場するキャラクターとして設定され、黒ユリの花言葉である「恋」と「呪い」がデザインのモチーフとなっています。
参考)https://www.pixiv.net/tags/%E3%83%90%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3(%E3%83%A1%E3%82%AE%E3%83%8972)
『黒猫のウィズ』というゲームでも、バティンはイベント「Diablo Emblem2 Jail of Jewel」に登場するキャラクターとして実装されています。声優の会沢紗弥さんが担当し、ダンタリオンやシャローム、フェネクスといった他のソロモン72柱の悪魔たちと共にガチャキャラクターとして登場しました。これらの作品では、原典の特徴を活かしつつも、ゲーム独自の解釈やキャラクター性が付与されています。
参考)コロプラ、『黒猫のウィズ』でイベント「Diablo Embl…
また、漫画『ベルゼブブ嬢のお気に召すまま。』にもバティンが登場します。作品内では、尾が蛇である青い馬に乗った男性の姿を取り、薬草や宝石に詳しいという原典の設定が活かされています。こうした作品群は、古代の悪魔学の知識を現代的なエンターテインメントとして再解釈し、新しい世代にソロモン72柱の魅力を伝える役割を果たしています。
バティンの詳細な歴史的背景と異名についての参考資料(Wikipedia)