バラム 悪魔の特徴と能力 登場する物語を体系考証で解説

バラムの容貌・序列・軍団規模から能力、登場する物語や解釈までを一次典拠と周辺文献で深掘りします。知られざる逸話も押さえていますか?

バラム 悪魔の特徴と能力 登場する物語

バラムの全体像と研究ポイント
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ソロモン72柱の序列・階級

『ゴエティア』で第51の霊、40個軍団を統べる「大いなる王」とされる伝承位置づけを整理します。

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特徴的な容貌アイコン

牛・人・雄羊の三つ首、燃える双眸、熊に騎乗し腕に鷹という象徴構成を図像学的に読み解きます。

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能力の範囲と実務的運用

過去現在未来の知、不可視化、機知の付与など典拠ごとの差分と召喚上の留意を示します。

バラムの序列と階級、統べる軍団規模の基礎情報

 

バラムは『レメゲトン』第一書『ゴエティア』で序列51番目に記され、地獄における「大いなる王」として40の軍団を率いるとされる基本設定を持つ悪魔です。

 

同系統の悪魔目録では『悪魔の偽王国(プセウドモナルキア・ダエモヌム)』において62番目の項に相当する旨が知られ、出典により配列や数え方が異なる点が研究の出発点になります。

 

また日本語圏の総覧的整理でも「恐るべき大王」「40軍団」などの要点は共有されており、基本属性として王階級・軍団指揮・高位の知の付与が反復されます。

 

バラムの容貌記述と象徴:三つ首・熊・鷹・燃える眼

バラムは牛・人・雄羊の三つの頭部を持ち、蛇の尾を有し、燃えるような双眸を特徴とし、凶暴な熊に跨がり腕には鷹を止まらせるという奇抜な姿で描写されます。

 

この外見は図像学的に「王権(牛)」「理性(人)」「犠牲や剛毅(雄羊)」の複合象徴として読め、熊は猛威・地上的な力、鷹は洞察・急襲の機動性を示すと解されることが多いです。

 

声はしわがれ、眼は炎のように輝くとされる描写は、預言的洞察と畏怖の現前を強調し、出現時の迫真性に寄与する記述として繰り返されます。

 

バラムの能力:知の付与・不可視化・機知、そして実務的効用

バラムは過去・現在・未来に関する正確な答えを与えるほか、召喚者や対象を不可視にし、さらには賢さや機知を授ける能力を有するとされます。

 

諸まとめでも「不可視化」「知と洞察の付与」「機知の強化」といった機能群が繰り返し挙がり、予知・索隠・交渉上の優位など実務的応用が示唆されます。

 

一部の近年の解説系では、報復や恐怖の除去など心理・状況介入的効力の言及も見られ、古典的権能に現代的解釈の拡張が加わる傾向があります。

 

バラムが登場する物語と派生的言及:ソロモン伝承から現代文化まで

ソロモン72柱全体の枠組みでは、古代イスラエルの王ソロモンが悪魔を使役し封印したという一連の物語が背景にあり、湖の容器封印と解放の逸話まで連なる流布型説話が知られます。

 

バラム個別の逸話は、序列表や能力表の列記が中心で、具体的エピソードは少ない一方、各種図像集や事典で三つ首・熊騎乗・鷹保持の印象的モチーフが繰り返し紹介されてきました。

 

日本語圏の解説・まとめでも、王階級と軍団規模、象徴的容貌、予知・不可視化・機知の三本柱の再掲が主で、ゲームや創作作品での再解釈が派生的に拡散しています。

 

バラムの起源比較:『ゴエティア』と『悪魔の偽王国』の差分(独自視点)

配列の差異として、『ゴエティア』51番 vs 『悪魔の偽王国』62番というズレは、16–17世紀のグリモワール編集系譜の違いに由来し、名簿順が固定的本質ではないことを示します。

 

また、『偽王国』における「堕天前は主天使(ドミニオンズ)級であった」との注記は、権能の根拠を天的ヒエラルキーに求める傾向を補強し、王階級としての支配性格と整合します。

 

権能の微差(不可視化の明示強度、授与する知の範囲の言い回し)も諸写本・近代編集で揺れがあり、研究的には版差と翻案の追跡が重要論点になります。

 

召喚・対処の留意:権能の利点とリスク、象徴運用のコツ

王階級ゆえの支配力と引き換えに、要求の明確化や献納・秩序順守が暗黙の前提とされ、命令の不備・曖昧さは反作用を招く典型的リスクとして指摘されてきました。

 

不可視化・機知の授与は短期的優位を生む一方、関係性や真実性の扱いには倫理的・実務的慎重さが必要で、特に「予知」情報の解釈は自己充足予言の罠に注意が促されます。

 

図像モチーフ(熊・鷹・三つ首)をタリスマン的に階層化する実践は、視覚化と意図固定の助けになると解され、役割分担の想起装置としての効能が語られます。

 

バラムの図像とシジル、視覚化のための記述整理

地獄の辞典系譜や各種まとめに見られる図像は、三つ首・熊騎乗・鷹保持・燃える眼のセットが核で、王権の徽章性と猛威の騎獣を合わせる構図が定着しています。

 

シジル自体は『ゴエティア』系の各霊に付随する署名として扱われ、名称・序列・階級と紐づく呼出しの媒体的役割を担うとされます。

 

近年の解説記事ではメタルコインやカード的表象に再編され、現代的な携行・視覚化の道具立てへ翻訳される事例が散見されます。

 

他の王級との比較視点:知・不可視・支配性の配置

王級の中でも、ベリアルの地位・寵愛授与や強制的従属の色合いに比べ、バラムは知覚的権能(予知・洞察)と不可視化の機動性が強調されます。

 

オロバスやダンタリオンなど知の権能を持つ霊とも比較され、バラムは「見えない化」と「機知強化」がセットで語られ、探索・交渉・回避の三領域で実効性がフォーカスされます。

 

軍団規模40という数字は、王級の威勢を示しつつ、指揮と情報優位の組合せでタクティカルな役割が割り当てられやすい点が指摘されます。

 

登場する物語の読み方:短文化する列伝から文脈を復元する

『ゴエティア』や総覧はバラムのエピソードを詳細には語らず、容貌・権能・階級の最小記述に終始するため、背後の「ソロモン封印譚」など総体文脈で意味を補います。

 

図像と能力の組み合わせから、狩猟者(鷹)と猛獣(熊)を駆る王のモチーフは、探索(索隠)と制圧(不可視・奇襲)の寓意的連関を示すと読むことができます。

 

現代記事では「報復」「恐怖除去」等の心理的・社会的機能が接合され、物語性の希薄さを現代のニーズに合う実践的ストーリーへ補完する潮流が見られます。

 

研究・学習のための推奨リソースと読み進め方

一次典拠として『ゴエティア』概説とシジル一覧は必読で、序列・署名・階級・能力の骨格把握に資します。

 

日本語の網羅記事で各霊の要点を素早く比較し、王級内の差異や機能分化を俯瞰するのが効率的です。

 

細部(容貌、声、象徴物)の確認には個別項目の事典記事が有用で、版差・表現差の検証にも役立ちます。

 

参考リンク(一次典拠の概要。『ゴエティア』の位置づけ確認に)
『ゴエティア』の概要とシジル一覧(項目解説の索引として有用)
参考リンク(日本語の総覧。序列や簡易能力比較の導入に)
ソロモン王の72柱の悪魔一覧(日本語の要点整理)
参考リンク(個別項目。容貌・能力・版差メモの確認に)
バラム(悪魔)日本語項目(容貌・能力・序列差)
参考)バラム (悪魔) - Wikipedia

参考リンク(日本語まとめ。王階級・軍団規模などの確認に)
王 バラム【Balam】序列51番(日本語解説)
参考)王 バラム【Balam】序列51番の王 - ソロモン王が使役…

クイック箇条書きまとめ(実務視点)

- 序列と階級:第51の霊・王、40軍団指揮。

 

- 容貌の鍵:三つ首(牛・人・雄羊)、熊騎乗、鷹保持、燃える眼。

 

- 主要能力:過去現在未来の知、不可視化、機知・知恵の授与。

 

- 物語上の位置:ソロモン封印譚の総体文脈内で機能的に理解。

 

- 学習導線:『ゴエティア』概説→日本語総覧→個別項目→版差比較。

 

小表:関連霊との比較(要点)

階級 主能力 補足
バラム 予知・不可視化・機知付与 三つ首・熊・鷹の象徴構成が特徴的
オロバス 伯爵 過去現在未来の真実・好意付与 真実性の高さで知られる
ダンタリオン 大公爵 思考読解・秘密暴露・幻視付与 多面顔の図像が著名
ベリアル 地位・寵愛・使い魔付与 供物要求など儀礼的厳格さ

豆知識:しわがれ声の機能と「不可視」の二重解釈

しわがれ声の描写は「古き知の運搬者」としての老性的象徴と結び、荘厳さではなく異質性・警戒感を喚起する装置と読めます。

 

不可視は物理的透明化だけでなく、社会的レーダーから外れる「目立たなさ」の賦与というメタファー解釈も通用し、交渉や潜行に有利な状態を示します。

 

鷹の保持は「高所からの監視」の象徴で、予知(時間)と偵察(空間)がバラムの両輪であることを視覚的に補強します。

 

 


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