このユニットのCDは初回出荷1000枚だったのに、3万枚以上売れた。
2008年4月、NHKの長寿番組『みんなのうた』で放送されたのが「CRYSTAL CHILDREN」(クリスタル チルドレン)という楽曲です。作詞・作曲は「めけてとにせん」名義であり、実際には実力派ソングライターのめけてさんが、当時4歳だった実の子どもの言葉をベースに書き上げたという、非常に個人的かつ愛情深い背景を持つ曲です。これが、のちに大きな反響を呼ぶ出発点でした。
番組史上初の試みとして、この楽曲のために全国オーディションが開催されました。対象年齢は6歳から18歳まで。全国各地から才能ある子どもたちが集まり、最終的に34名でグループ「クリスタルズ」が結成されました。これはNHKが自ら手がけた前例のないユニット誕生でした。
つまり、この曲と一緒に生まれたグループということですね。
その後、追加メンバーが加入し、最終的な総勢は40名に及びました。大半が児童・生徒であり、地方在住者も多かったため、イベントに全員が揃うことは難しかったといいます。途中加入のメンバーは『みんなのうた』の映像には出演せず、ライブイベントのみの参加という形がとられました。
楽曲の映像はアニメーションと実写を合成したもので、宇宙からイルカに乗って地球にやってくる印象的なシーンが多くのファンの記憶に残っています。まさに「使命を持って生まれてきた子どもたち」という世界観が全面に打ち出されており、スピリチュアルに敏感な人ほど強く引き寄せられる内容でした。
参考:クリスタルズの詳細プロフィール(Wikipedia)
クリスタルズ(日本のユニット)- Wikipedia
クリスタルズは全40名という大規模なユニットで、大きく4つのグループに分かれていました。それぞれの役割を整理すると、以下のようになります。
| グループ名 | 担当 | 主なメンバー(芸名) |
|---|---|---|
| CRYSTALS | メインボーカル | ウィン(森崎ウィン)、ケント(麻田健人)、オスマン(ナディーム・音澄真)、ショウコ(藤松祥子)、ユメ(松井夢)、モモ(児玉萌々) |
| EARTH CRYSTALS | ボーカル&ダンス | ティム(黒川ティム)、ユウキ(バーンズ勇気)、ユウタ(古屋敷雄太)、アリーナ(斉藤安里奈)、マユ(高橋麻友) |
| CRYSTAL WINDS | ダンス | ショウヘイ(浦川翔平)、ダイキ(清水大樹)、メイ(庄司芽生)、ユウセイ(神谷勇星)など |
| CRYSTAL SPIRITS | コーラス | ナイト(菅井内音)、ニセン(片柳爾扇)、サクラ(川越咲良)など |
メンバー全員に「ウィン」「ショウヘイ」などのニックネームが与えられており、本名とは異なる形で活動していました。このあたりも、スターシードやアニメのキャラクターを連想させる演出として機能していたようです。
注目は、コーラス担当「CRYSTAL SPIRITS」グループの「ニセン」こと片柳爾扇さんが、実はこの曲の作詞者「めけてとにせん」の「にせん」本人だという点です。作詞者がメンバーとして参加するという、かなりユニークな構成でした。「めけて」はにせんの母親であるため、この楽曲は母と娘の合作とも言えます。意外ですね。
メンバーは劇団ひまわり、スターダストプロモーション、エイベックスなど複数の事務所に所属していた点も特徴的です。40名が一つのユニットとして動くためには、各事務所との調整も相当な作業だったことが想像されます。
参考:CRYSTAL CHILDREN楽曲詳細(Wikipedia)
CRYSTAL CHILDREN - Wikipedia
クリスタルズは2008年の結成から2009年9月の解散まで、わずか約1年半の活動期間でした。しかし、このユニットから後に著名な活動をする人材が次々と登場しています。これが知れると得するポイントです。
メインボーカルの「ウィン」こと森崎ウィンさんは、現在もっともよく知られているメンバーの一人です。1990年生まれのミャンマー・ヤンゴン出身で、小学4年生の時に来日。中学2年生でスカウトされて芸能活動をスタートしました。
クリスタルズ参加後はPrizmaXというグループでも活動し、2018年にはスティーヴン・スピルバーグ監督の超大作『レディ・プレイヤー1』でハリウッドデビューを果たしています。同年の映画『蜜蜂と遠雷』では日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞。現在はミャンマー語・日本語・英語の3か国語を操る国際的な俳優として活躍中です。
ダンス担当「ショウヘイ」こと浦川翔平さんは、当時わずか11歳でクリスタルズに参加しました。長崎県出身で、2歳でダンスを始め、小学6年生にはEXPG福岡校の特待生になるほどの実力の持ち主です。現在はEXILE TRIBEのグループ「THE RAMPAGE from EXILE TRIBE」のメンバーとして活躍しています。
また、「メイ」こと庄司芽生さんも、クリスタルズのCRYSTAL WINDSでダンスを担当した後、2010年にガールズ・ダンス&ボーカルグループ「東京女子流」のメンバーとしてデビューしています。現在も東京女子流のリーダー的存在として活動を続けています。
「ユウセイ」こと神谷勇星さんは、2018年の「ダンスアライブ HERO'S FINAL」でHIPHOP部門優勝という快挙を成し遂げています。
これは使えそうです。クリスタルズは「未来の星」を育てるインキュベーターのような役割を果たしていたともいえるでしょう。
占いやスピリチュアルが好きな人が「クリスタルチルドレン」という言葉に反応するのは、スピリチュアル界でも同名の概念が存在するからです。スピリチュアル用語としての「クリスタルチルドレン」は、おもに1990年代から2010年頃に生まれた人々を指す概念で、「地球の波動を高めるために宇宙から遣わされた新しい魂」だとされています。
スターシードの一種として位置づけられ、クリスタルチルドレンの特徴としては次のような点が挙げられます。
NHKの「みんなのうた」で放送された楽曲「CRYSTAL CHILDREN」は、歌詞の内容が「憎しみを涙に変えて許せる」「怒りは歯を食いしばって飲み込む」という非暴力・愛の精神を訴えるもので、まさにスピリチュアル用語のクリスタルチルドレンが持つとされる気質と重なります。スピリチュアルに敏感な人々がこの曲に強く引きつけられるのは、偶然ではないかもしれません。
「地球を光で満たす心の愛」という歌詞の一節は、「地球の波動を引き上げる使命」というスピリチュアルな定義と驚くほど一致しています。つまり、この楽曲は意図的かどうかにかかわらず、スピリチュアルなメッセージを強く内包していたということですね。
また、映像に登場する「宇宙からイルカに乗って降りてくる」シーンも、スターシードが宇宙から地球に転生してくるイメージと重なるとして、スピリチュアル愛好家の間で長年語り継がれています。
参考:クリスタルチルドレン(スピリチュアル)についての解説記事
クリスタルチルドレンとは?有名人・特徴・使命(スピリチュアル図鑑)
「CRYSTAL CHILDREN」は、発売当初の初回出荷がわずか1000枚という、控えめなスタートでした。これは、当時の関係者も大きなヒットを予想していなかったことを示しています。
ところが、その後の展開は予想外のものでした。YouTubeへの映像アップロードをきっかけにネット上で話題が広まり、2008年6月の時点ですでに3万枚以上の売上を記録しています。初回出荷の30倍以上という数字です。これだけ急速に口コミで広がった理由は、楽曲のもつ透明感と、子どもたちが全力で歌い踊る映像の純粋さが、多くの人の感情に直接訴えかけたからではないでしょうか。
さらに特筆すべきは、2008年4月〜5月のNHKメロディ着信メロディのダウンロードランキングにおいて、この曲が全体の73パーセントを占めたという事実です。残り27%に他のすべての曲が入っていたことになります。当時のNHKコンテンツの中で、いかに突出した人気を誇っていたかがわかります。
CDはavex ioレーベルから発売され、DVDビデオ付きの音楽CDとして提供されました。この時期のエイベックスが手がけたキッズ系コンテンツとしても異例のヒット作といえます。
同年11月にはセカンドシングル「CRYSTAL CHILDREN ~眩い未来へ~」が「クリスタルズ feat. PrizmaX」名義でリリースされ、配信限定のピアノバラード版も話題になりました。このバラード版のピアノ演奏には若手ジャズピアニストの林正樹さん、チェロには結城貴弘さんが参加しており、豪華な仕上がりでした。
しかし、グループは2009年9月に解散。1年半ほどの活動期間を終えました。それでも、この曲と映像は現在でもTikTokやYouTubeで定期的に取り上げられ、「懐かしい」「また聴きたい」という声が絶えません。短命でも輝かしい足跡を残したユニットといえるでしょう。
参考:みんなのうたCRYSTAL CHILDREN公式ページ(NHK)
CRYSTAL CHILDREN - みんなのうた(NHK公式)