事実婚メリットデメリット総合解説!姓変更不要から税制まで

事実婚を選ぶカップルが増える中、姓変更不要のメリットから税制・相続のデメリットまで総合的に解説。結婚の形を考えるパートナーにとって、事実婚は本当に最適な選択なのでしょうか?

事実婚 メリット デメリット

事実婚のメリット・デメリット早わかり
姓変更不要

夫婦別姓で個人アイデンティティ維持

💸
税制の不利益

配偶者控除・相続税軽減なし

⚖️
社会保障は同等

健康保険・厚生年金の扶養可能

事実婚の基本的なメリット

事実婚を選択するカップルが注目する最大のメリットは、姓の変更が不要な点です。現在の日本では法律婚において夫婦同姓が義務付けられているため、多くの場合女性が姓を変更することになります。しかし事実婚なら、愛着のある姓をそのまま維持でき、キャリア継続にも支障をきたしません。
参考)「事実婚」の定義とは?手続きやメリット・デメリットについてわ…

 

免許証やクレジットカード、銀行口座などの各種名義変更手続きが不要というメリットも見逃せません。仕事で通称使用が困難な職場でも、事実婚であれば旧姓のまま業務を継続できるため、専門職や士業に従事する女性にとって特に価値があります。
参考)事実婚のメリット・デメリット。知っておきたい注意点と備えてお…

 

事実婚解消時には、戸籍に離婚履歴が残らない点も注目されています。次のパートナーと法律婚する際は戸籍上初婚として扱われるため、離婚歴を気にする方にとっては重要な選択肢となるでしょう。
参考)事実婚はなぜずるいと思われる?メリット・デメリットを弁護士が…

 

事実婚における社会保障制度の利用

意外に知られていないのが、事実婚でも社会保険の扶養に入れるという点です。事実婚関係を適切に証明できれば、健康保険や厚生年金保険において、法律婚の配偶者と同等の扱いを受けることができます。
参考)【徹底解説】事実婚の配偶者は控除対象になる?社会保険で扶養に…

 

国民年金の第3号被保険者制度では、会社員や公務員に扶養されている20歳以上60歳未満の事実婚パートナーも対象となります。これにより国民年金保険料の支払いが免除され、保険料納付期間として認められるメリットがあります。
事実婚解消時には年金分割も可能で、婚姻期間中の年金をそれぞれで分割できます。また、2021年1月からは不妊治療費助成も法律婚と同様に受けられるようになり、事実婚カップルへの支援制度が拡充されています。
参考)事実婚の定義とは?法律婚との違いやメリット・デメリットを解説…

 

事実婚の重大なデメリット

事実婚の最も大きなデメリットは、税制上の優遇措置を一切受けられない点です。配偶者控除、配偶者特別控除、贈与税控除、相続税軽減などの税制メリットが適用されず、法律婚世帯と比べて税負担が重くなります。
相続権がないことも深刻な問題です。パートナーが死亡した場合、法定相続人として認められないため、遺産を相続する権利がありません。遺言書による遺贈を受けても、相続税は2割加算され、配偶者控除の適用もありません。
参考)事実婚のパートナーに相続権はある?事実婚カップルがとるべき生…

 

医療費控除についても、生計を同一にする家族の医療費を合算できないデメリットがあります。法律婚なら年間10万円を超える医療費について控除対象となりますが、事実婚では各自の医療費のみが控除対象となります。

事実婚における子どもの親権と養育費

事実婚で生まれた子どもは**非嫡出子(婚外子)**となり、母親の単独親権となります。父親が親権を獲得するには、母親の単独親権から父親の単独親権に変更する手続きが必要です。法律上の父子関係を成立させるためには、父親による認知手続きが必須となります。
参考)事実婚の親権は「原則母親」 父親が親権を獲得するには?

 

養育費については、父親が認知している場合は法律婚と同様に支払い義務があります。認知により法律上の親子関係が成立するため、事実婚解消後も扶養義務が継続します。
参考)離婚とお金VOL22 事実婚で生まれた子は?養育費をもらえる…

 

しかし、認知していない場合は養育費支払い義務がない点は注意が必要です。法律上他人となるため、自主的な養育費支払いは可能ですが、法的強制力はありません。2026年5月までに施行される改正民法により、非嫡出子の共同親権も認められる予定です。

事実婚を証明する手続きと注意点

事実婚を社会的に証明するには、住民票の続柄表記が重要です。世帯変更届を提出し、続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」と記載することで、事実婚関係を客観的に示せます。
参考)事実婚の手続き|住民票は?市役所に届出る?公正証書も解説!|…

 

公正証書の作成も有効な証明手段です。「婚姻の意思があること」「生計を同一にすること」「事実婚解消時の財産分与」などを公正証書で残すことで、第三者に対する証明力が高まります。
参考)第1回 事実婚、お金の「夫婦」認定は社会保障と税制で差

 

自治体のパートナーシップ制度も活用できます。2025年5月時点で日本全体の人口に対するカバー率は93%に達し、事実婚カップルも利用可能な地域が増えています。社会保険の扶養申請や生命保険の受益者変更の際に、これらの証明書類が威力を発揮します。
参考)事実婚スタートするときの手続 押さえておきたい5つのポイント